70 ページ26
試合を終え球場の外へ出ると観客たちがわっと集まってくる。
椎名もクラスメイトと少しだけ言葉を交わし御幸の元へ行く。
『おぉ、沢村人気者じゃん』
倉持「な！！」
『洋一？』
倉持「わ...わ...わ...若菜か！」
『は？何？高菜？』
御幸「違う、違う。若菜な」
『誰？』
御幸「あの子。沢村の彼女だってさ」
椎名は御幸が指をさしている方に顔を向ける。
そこには目がクリッとした足を出している女の子の姿。
『え？あいつ彼女いたの？』
御幸「本人は違うって言ってるけどな」
『ほぉ〜。スタイル良いね〜。洋一好きそう』
御幸「胸とかな」
『一也のスケベ。お前もあーいう感じの子好きなの？』
御幸「ん？俺はお前一択！」
御幸は自分の頬を椎名の頬にくっつけぐりぐり動かす。
椎名も『ん〜ッ』と嫌がるそぶりは見せるも抵抗はしていない。
伊佐敷「おい！てめぇら！クソ暑苦しいからそれ辞めろ！！」
御幸「ははは〜。すみませーん」
結城「相変わらず仲良しだな」
『髭が痛そうなんで純さんとは出来ないっすね！』
伊佐敷「よーし。千弘。てめぇこっち来い」
『冗談ですよ！冗談！』
伊佐敷は椎名の肩をぐいっと引っ張り先程の御幸と同じ行動をする。
『やーだー！いででで！』
伊佐敷「あぁ？もっとやってほしいってか？」
『言ってない！！！』
椎名は伊佐敷に抵抗するようにバタバタ動く。
その姿が兄弟喧嘩のようで周りも「ぷッ」と吹き出している。
片岡「椎名」
『はい！』
片岡「お前は太田部長と一足先に寮へ戻れ」
『え？』
片岡「体を休めておけ」
『ひ...貧血は朝のうちに良くなりましたし大丈夫っすよ！』
片岡「....念のためにだ」
『...はーい』
太田「椎名！タクシーを呼んだから戻るぞ」
椎名はエナメルバックを持ち上げて太田の方へトボトボ歩いていく。
倉持「千弘帰るのか？」
『うん。一休みしてくる』
倉持「戻ったらお前の部屋行くわ」
御幸「とりあえずしっかり寝とけよ？」
倉持と御幸は椎名をあやすようによしよしと頭を撫でる。
そしてタクシーに乗って戻っていく彼を見送り会場内へ戻っていく。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 245人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みる | 作成日時：2023年4月29日 17時
