【♦のA】小さな怪物【男主】② (ページ17)

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7回裏。
青道高校も0点で攻撃を終える。

片岡「椎名。体は大丈夫か？」

『大丈夫です』

片岡「....この回打順は轟からだ。任せられるか？」

『任せてください』

椎名は二ィっと笑い片岡を見る。
そしてグラブを取りマウンドへ向かおうとすると目の前に御幸が立つ。

『一也』

御幸「大丈夫か？」

『おう！この通り！』

いつも通り笑う椎名に御幸は少しほっとする。

『可愛い後輩の仇を取ってやりたいんだ』

御幸「え...」

『リード頼むぜ。女房』

御幸「任せておけ」

椎名と御幸はトンっと拳を合わせてマウンドへ走っていく。
間違いなく高校野球界でもトップに入るであろうバッテリー。
観客も記者も2人から目が離せない状態になっていた。

轟「カハ...ハハハハ！椎名千弘！あれが椎名！」

『ふーん。1年の怪物くんね...』

御幸「(まずはストレート)」

椎名はコクンと頷き、ストレートを投げる。
轟は初球迷わずバットを振るも空振り。

轟「す...すげぇ！面白い！すげぇー！」

『(2球目は...フォーク)』

2球目も轟は空振りをする。

『(たしかにお前は打者としては凄いよ)』

『(でも...俺には勝てない)』

圧にも負けない強気な姿勢。
焦りも何も見せない椎名の後ろ姿に野手の気持ちも落ち着いている。

轟父「おいおい。2ストライクって...打てよー。雷市」

轟「ストレートこい...ストレートこい...」

3球目轟は椎名のストレートをバットに当てファウルへ。

御幸「(タイミングが合ってきてる...1回変化球で外すか)」

『(いや...ここは押し切りたい)』

御幸「(ははは。全然びびってねーじゃん。いいぜ、来いよ。千弘)』

御幸はパッとサインを出し椎名はサイン通りストレートを投げる。
その球を轟は再びファウルへもっていく。

轟「こい...こいッ！！」

5球目椎名はナックルボールを投げる。

轟「！？」

真田「おいおい。まじかよ」

三島「それはえぐいだろ...」

審判「ストライク！バッターアウト！」

椎名は二ィっと笑い勝ち誇った顔をする。

御幸「(やべぇ...今のめっちゃ気持ちい！)」

沢村「うぉおお！椎名先輩！ナイスピッチ！」

沢村の声に椎名は反応して嬉しそうに笑う。
それに対して沢村も嬉しそうに笑い、「ナイスっす！」と親指を立てて笑っている。