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治は一ノ瀬をベッドに座らせる。
治「熱は？」
『あー、わからん』
治「体温計は？」
『ない』
治「なんでやねん」
『買うてへん』
治「はぁー...おでこかりんで？」
治は一ノ瀬の前髪をくいっと上にあげて自分の額をくっつける。
『....顔近い』
治「結構熱あるんとちゃう？」
『お前...』
治「ん？」
『顔整ってんなぁ』
治「急にどうしたん？ほんまに熱高いんとちゃう？」
『いや、ずっと思ってたで』
一ノ瀬はそのまま治にもたれかかるように力を抜く。
治「ちょ、優くん？....って寝とる」
治はそのまま一ノ瀬をベッドに横にする。
寝ている彼はいつもと比べるとやはり幼い。
治「もうちょと意識してもええやん」
治は彼の頬に手を添える。
すると扉がガチャッと開く音がする。
北「優。誰か来とるんか？」
治「あ、ども」
治はベッドから慌てて立ち上がり北に頭を下げる。
北「あ、治が来とったんか」
治「家帰っても風邪ひいとるツムおるんで」
北「別に怒らへんから安心しぃ」
ピシッと立っている治に北はふふっと笑ながら言う。
北「優の調子はどうや？」
治「今寝た感じっす」
北「そうか」
北は冷凍庫から氷を取り出し、慣れた手つきで氷枕を作り出す。
北「治は優のこと好きか？」
治「え？」
北「こいつな、こんな性格やから後輩によぉ怖がられんねん」
治「まぁ、たしかに最初は近寄りがたい感じでしたね」
北「中学では俺と話してばっかりであんまりコミュニケーションもとらへんかったんよ」
治「え？優くんが？意外っすね」
北「せやろ？でも優な、最近楽しそうにお前らの事話してんねん」
治「....」
北「治達とここ行ってきたとか。ほんま昔のあいつからは想像できへん」
治「なんや嬉しいですね。そない楽しそうに話してくれはるの」
北はくるりと治の方を向く。
北「これからも仲よぉしたってな」
治「はい」
治は一ノ瀬を見つめながら返事をする。
しばらくして治は帰り、部屋には北と一ノ瀬の2人になる。
『治？』
北「治は帰ったで」
『信介？』
北「おん」
『治。風邪ひかんとええなぁ...』
北「そしたらお見舞い行ってやり」
北はふふっと笑ながら彼の頭を撫でる。
北「(どんどん変わっていく優を見るのも悪くないな...)」
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作者名：みる | 作成日時：2022年12月5日 21時
