46 ページ2
―夏が終わり秋が来る。
春高予選の組み合わせも決まり、バレー部は再び全国へ向けての準備を始める。
赤「優。体調どや？」
『朝よりダメな気すんねんけど』
赤「3限保健室使うたら？」
『3限...なんやっけ？』
赤「体育」
『あー...せやな。ちょっと休むわ』
季節の変わり目でもあるこの時期。
一ノ瀬はよく体調を崩す。
しかし大事な時期でもあるから本人は部活を休みたがらない。
『信介に自己管理できてへんって怒られる』
赤「せやな。去年も一昨年も怒られとったよな」
『毎年やから今年こそは思うたんやけど』
赤木は保健室をガラッと開ける。
赤「あれ？先生おらへんやん」
『あの人いっつもおらへんやん』
赤「とりあえずまた迎えに来るわ」
『おう。あんがと』
一ノ瀬は赤木に手を振り、体温計を手にしてベッドの方へ行く。
ピピっとなる体温計を見て盛大な溜息をつく。
『38℃はもう無理やん』
一ノ瀬は慣れた手つきでアイスノンをタオルにくるみ枕に置く。
数字を見たせいか先程よりどんどん体が重くなるのを感じる。
？「失礼しまーす。って先生おらへんやん」
誰か入ってきたと感じるも瞼が重くなり一ノ瀬は目を閉じる。
『(先生おらへんって教えたりたいけど...まぁ、ええか)』
？「誰かおる。...優くん？」
『....誰？』
治「治やけど。体調悪いん？」
『治！？はぁ！？お前怪我したんか！？大丈夫か？』
治「ちょっと膝擦っただけやけど」
『捻ったりは？大丈夫か？』
治がコクンと頷くと一ノ瀬は安心したのか全身の力が抜ける。
治「優くん？大丈夫？」
『熱あんねん』
治「朝からあったん？」
『いや、今でてん』
治は一ノ瀬をベッドに横にする。
そして近くにある椅子を持ってきてベッドの横に座る。
『何してんの？』
治「1人寂しいやろ？」
『...うつんで』
治「ええよ。優くんがそれで楽になんなら」
『お前あほやろ』
治「うん」
『バーカ』
治「うん」
治の表情がいつもより柔らかく優しいため一ノ瀬は変な顔をする。
『お前...なんか変やぞ』
治「気のせいとちゃう？はよ寝たら？」
『治。帰りたなったら教室戻れよ』
治「ん。おやすみ優くん」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1092人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みる | 作成日時：2022年12月5日 21時
