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―東京駅


『広すぎやろ。人多すぎやろ』

東京駅をうろうろ歩き回る一ノ瀬。
周りから見たら迷子同然。



『あ、牛若やん』

牛「...一ノ瀬か」

『よーっす!お前も迷子やろ』

牛「俺は迷子じゃない」

『迷子のやつは皆そう言うねん』



合流した2人はそのままバスが出ている方へ歩いていく。


『最近どう?おもろいやつとかおる?』

牛「おもろいやつ?」

『お前が興味湧くようなやつ』

牛「....いないな」

『ふーん。及川君くらいか』

牛「それとお前だな」

『そらどうも。おッ、バスきた』



バスの中は人が溢れ返っており一ノ瀬は顔を歪める。
対して牛島は涼しい顔でバスの中へ足を進めていく。



『あー、1週間も耐えられへん』

牛「大丈夫か?」

『無理。人多すぎ。ありえへん』


そうぼやく彼を見て牛島は片手でぎゅっと彼を自分の方へ引き寄せる。



牛「目を閉じておけば少しは楽だろ」

『...何が悲しくてお前の胸に顔埋めなあかんねん』

牛「なら離すが?」

『いんや...これでええ』



20分後バスが目的地へ到着する。
牛島は一ノ瀬の手を引きながらバスを降りていく。



『おい。なんでナチュラルに手繋いでんねん』

牛「寝てると思ったからだ」

『目閉じとけ言うたの自分やろ』

牛「あれから何もしゃべらなかったからな」

『あー...せやな。うん。俺があかんな。すまん』



190cm近い男と170cmの男が手を繋いでる図。
周りの大人たちはクスクスと微笑ましく見つめてくる。
その視線に気付いた一ノ瀬は顔を赤くしばっと手を離す。




牛「もう大丈夫なのか?」

『あー...おう。あんがと』

牛「顔が赤いが」

『だー!!!やっかましいわ!』



会場の前につくと数名のメンバーがこちらを見ている。
一ノ瀬は改めて牛島の方を向き拳を突き出す。



『とりあえず一週間よろしくな』

牛「...あぁ」

『拳合わせんのかーい!!』

牛「あぁ、それはそういう意味か」

『他になんの意味があんねん!じゃんけんか!?』

牛「お前は元気だな」

『やっかましい!!!』



すでに稲荷崎が恋しくなる一ノ瀬であった。

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作者名:みる | 作成日時:2022年11月19日 19時

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