その声で【 YMIN短編集 】

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え、なに、こっち側ってなに。
どっちのなんの事言ってんの？は？



「俺ねー、新郎と付き合ってたんだよね。なのにあのクソ女に寝取られてさ。マジムカつくから白いスーツで来てやったよ」



え？まさかの新郎？新婦と付き合ってたんじゃなくて？
もう頭が混乱して大渋滞を起こしてる。



「えっと、あの…」


「あ、でもね、おれおにーさんと出会えたからいいや。すっごい顔タイプだし。なんなら宏太よりもイケメンじゃない？」



宏太って確か新郎だな。
この人言ってることめちゃくちゃだし俺がタイプとか…
多分俺は今口説かれているんだろう。


でもこの状況になってみて驚いたことが1つ。
俺はこの人に口説かれることに対してなんの嫌悪感も違和感もないんだ。
確かにパッと見顔は女かもだけどまあ男だし。



「ねえ、おにーさん！おれと連絡先交換しようよ！おれおにーさんに一目惚れしちゃった〜」



困っていたら勢いよく両手で俺の肩を揺さぶってきて抱き着かれる。
俺今勤務中なんだけど…確かに会場の隅っこだけど普通にバレそうだし。
なんとか離れてくれないかと身体を押し返してみる。


それでも離れてくれなくて。
彼の首筋から香る甘い匂いに頭がクラクラしてきて。
出会ったばっかでお客様とスタッフなのに、俺はかなりこの人にあてられてるんだなって。



「…っ、分かりましたから！連絡先も教えますからとりあえず離れてください！」


「やった！俺の大勝利だね！」



またにこにこと嬉しそうにこの人は笑ってて。
でも初めはもっと暗い顔してたし、こんな笑顔を俺に見せてくれて良かったなって。


多分俺もこの人に興味が湧いてきちゃって。
もっともっとこの人について知りたくなってきたんだ。




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めちゃめちゃさりげなーくホワイトデーという単語を使わせていただきました…(

作者も結婚式場でスタッフのバイトをしていますが、山田さんが一緒に働いてたら新郎なんて霞むぐらいにキラッキラしてるんでしょうね〜


次は偽りの自分をのおふたりのその後をかければいいなと…！

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