窮地に陥る ページ44
「なぜいつも…出来るか。なぜ…いつも京妖怪のジャマをする」
険しい顔で睨みつけてくる鬼童丸。
「はごろも♡ギツネサマ〜！！くしぇものはどこですかぁ」
そこに柱を壊さんばかりの勢いで現れたのはがしゃ髑髏。
「く…」
絶体絶命かと京妖怪達を睨みつけたぬらりひょんの元へ、真っ直ぐに飛んで来た鴉天狗がその体を立ち上げて飛び上がる。
喰ってやると向かってきたがしゃ髑髏を躱しながら城内へと逃げる。
「ようやったカラス天狗」
「総大将！！無茶はなさらずと言ったでしょう！！城には他の者は簡単に入らないのをいいことに…」
総大将を抱えて城内の階段を飛んで行きながらそう苦言を呈す。
「すまんすまん、すぐ出てくるつもりだったがつい孫がかわいくなってのう。ワシ過保護かの」
「当たり前です！！」
傷を負いながらも軽口をたたくぬらりひょんに目を剥く。
「出てすぐ幹部たちと合流するぞい」
窓が見えて来た二人だったが、そんなぬらりひょんの目に黒い羽根が見える。
「ウ…おい…羽根をちらすな、カラス」
黒い羽根に、てっきり鴉天狗のものとそう声をかけたぬらりひょんの視界が黒く染まる。
それは、鴉天狗も同じだった。
かつて四国妖怪の玉章とともにリクオや雪女を苦しめた黒い羽根。
二人の背後には夜雀がいた。
視界を奪われた鴉天狗はぬらりひょんの体を離してしまう。
ズガァァと激しい勢いで壁に叩きつけられ、ガラガラと崩れた破片がぬらりひょんの体に降りかかる。
「カラス天狗…」
刀を突きつけられながらも部下の身を案じるぬらりひょん。
しかし
「うぐっ…」
ぬらりひょんの体を刀が貫く。
「！？そ…総大将ー」
目が見えなくなりながらも、総大将の苦しそうな声に気づいてそう声を出す。
「フェフェフェ、奴良組三代の血はいただいた。ワシらの主の世はもうすぐじゃ」
ぬらりひょんを刺したのは鏖地蔵。
その顔には残忍な笑みが浮かべられている。
四百年前羽衣狐の部下であり、京妖怪の幹部としてそこにいた鞍馬天狗の席をいつの間にか奪い取り、席だけでなく皆の記憶にまで影響を与えてしまった。
鞍馬天狗と旧知の中である牛鬼が、鞍馬天狗からそう聞かされていた妖怪であり、四百年間封印されていた土蜘蛛の記憶にまでは影響を与えることができなかったのか、土蜘蛛には怪しまれていたが。
夜雀を従え今この場に現れていた。
ぬらりひょんと鴉天狗は敵の基地である弐條城にて絶体絶命のピンチを迎えていたのだった。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年3月7日 1時
