しょうけら ページ22
「何もわからぬ愚かなお前に教えてやろう。この神に与えられた体を…この美しき羽根を見よ。これは"天使の証"…眼は全てを見通す…天上人の複眼…自ら輝く"聖なる体"…私こそが選ばれし妖…」
その背中からは羽根が生え、下半身は昆虫の様で尻尾のような物の先端は鋭く尖っている。
「聞け、愚かな者よ…私は神の名の下に裁きを下す審問官なのだ。闇の聖母を守り神の世界をとり戻す…我らの悲願を邪魔する者は、全てその罪により裁かれねばならない…」
しょうけらー「人の罪」を"天"に告げる妖怪。
伝承では、しょうけらは60日に一回来るを"庚申"と呼ばれる日、人の寝ている間に天に昇って人々に罪科を告げる虫の妖怪と言われている。
告げられた人は"天"により命を奪われるという。
だから庚申の日は「寝てはならない」回避するには、庚申の日に鬼神像の「青面金剛」を祀って徹夜をして過ごす。
罪を問い人の命を奪う妖。
「しかし…天に背く愚かな者がいる。千年前から我らの悲願を邪魔し続ける者共…」
そう告げるしょうけらに京妖怪の部下達が呼びかける。
彼らの腕に抱かれていたのは、意識を失ったカナや鳥居、巻の姿。
しょうけらはカナの顔をぐっと持ち上げるとそのまま下ろす。
「違うな…こいつらじゃあない」
そして、膝をつく二十七代目の首元に槍をそっと沿わせる。
「"破軍を使った少女"はどこにいる？」
そのまま十字の槍で二十七代目の体を持ち上げる。
しょうけらの目的はゆら。
「ゆらなら…"戦い"に出ておるよ……」
「そんなはずはないだろ？」
不思議そうな顔をするしょうけらを、武器を突きつけられたまま睨み上げる。
「フン…好きなだけ調べてまわれ………だがそうしてる間にゆらは歩を進めるぞ」
実際、ゆらは十三代目や奴良組と協力して封印を施している。
「ワシを殺すなら殺せ…我らの未来はもうつむがれている…。必ずやあの娘が代わりに…」
言い終わる前に、その言葉は途切れた。
しょうけらが武器を振り下ろしたが為に、その体はドサァと地面に崩れ落ちる。
「そうだな…しゃべらぬなら必要はない」
「おい！！子供らは関係ねぇだろ！！はなしてやれ！！」
背を向けているしょうけらに怒りをぶつける青田坊。
「まさか…守るものとはこいつらのことか…？だが、この中に奴良組のお姫様はいないようだな…」
ギギギと嫌な音を立てながら顔をこちらに向けてくる。
そんなしょうけらに、やはりAは雪女と行って正解だったと確信する。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年3月7日 1時
