襲いかかってきた土蜘蛛 ページ1
「そしてそののち『破軍』と『祢々切丸』によって弐條城にて羽衣狐を討つ！！頼むで！！」
バンと言い切る十三代目を怯むことなく見つめ返すリクオ。
「…頼まれなくてもその為にオレは来たんだよ！」
堂々と宣言したリクオを見つめるAの顔は泣き出しそうに歪んでいた。
ああ…また、置いて行かれる……。
俯いて唇を噛み締める少女に気がついたのは、イタクと竜二だけだった。
落ち込むAだったが、そんな暇もなく感じ取った気配にゾクッと恐怖を感じて戦慄する。
「強ぇ奴全部そろったなぁー。楽しみだぁなぁー」
突如現れたそれは小妖怪達を勢いよく腕で薙ぎ払った。
それと同時刻、羽衣狐は部下となる京妖怪を引き連れて弐條城に到着していた。
「な…何や…？」
突如現れた鬼の顔をした巨大な妖によって地面や鳥居に叩きつけられる妖怪達。
妖は悲鳴を上げる妖怪達を気にも止めずにどんどんとリクオ達の方へ近付いて来る。
「ウソ…急じゃない！？」
突然の襲撃に構えるイタクや魔魅流。
「京妖怪だ！！腕に自信の無いやつぁー下りな！！」
声をかけたリクオの背後に一瞬にして飛んでくる妖に目を見開くリクオ。
「……オレの名は土蜘蛛。強ぇ奴とやりに来た次第。こんだけいりゃー誰か骨のある奴ぁーいるんじゃあーねぇか？」
リクオや黒田坊の背後に両手をついて腰を下ろしながら妖怪達をを見つめる。
「お前か、お前か？それとも…テメェェか」
土蜘蛛の視線が首無から黒田坊、イタク、淡島へと移る。
「女でもいいぜ。戦える奴ァ全員オレの敵だ」
ニヤといやらしく笑う土蜘蛛にくっと険しい顔をして構える玲麗や毛倡妓、雪女。
「バァカ！！てめーらはすっこんでろ！！オレがやる！！」
刀を抜いて土蜘蛛と対峙するリクオ。
次の瞬間、キセルを口に咥えてホゥッと息を吐き出して胡座をかくように座る土蜘蛛。
その周りには積み重なった瓦礫の山と姿の見えない妖怪達。
「四百年振りの百鬼夜行破壊、強者は見つからなかったが…楽しいモンだ」
そうこぼした土蜘蛛は、そこで瓦礫の山の中央に無傷で立つ一人の男に気がつく。
「てめーは…四百年前オレを封じた…陰陽師じゃねぇかぁ〜。てめぇ…またオレを封じに来やがったかぁ〜！？」
凄む土蜘蛛にニコッと笑みを返すと心の中でゆらに話しかける十三代目。
彼の後ろの瓦礫の下には、土蜘蛛の攻撃に耐えた十三代の主ゆらと、咄嗟にゆらを守って腕を負傷した竜二がうつ伏せの体勢で横になっていた。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年3月7日 1時
