守りたいから ページ50
「若！！来てくれてたんですかい！！」
笑顔で駆け込んできたのは良太猫。
「うまくやってるみてぇだな、良太猫」
「まかして下さい！！旧鼠がいなけりゃ…きちんと人と妖怪わけられますから！！」
そう自信満々に笑う良太猫。
彼は得意げに笑うと花札を手に持ってリクオに見せる。
「それよりどーです？これ！！うちの組といえば百鬼花札…！お手合わせ願いたいっすねぇ！」
「やめとくよ…良太猫はギャブルに熱すぎるってきくしな」
「誰ですそんなこと言ってる奴！！」
揶揄うようにかわすリクオに憤慨する良太猫。
「あんまほっといて熱中するわけにいかねぇしな…」
そういうリクオの視線の先には、妖怪達と楽しそうにゲームをするカナの姿。
これ…私が連れてこられた意味なかったんじゃ…？
ぼーっとそんなことを考えていたAに、良太猫が気づく。
「A様！？お久しぶりです！今日は若も一緒にいらっしゃったんですね〜声かけてくださればよかったのに」
「…あ、いや…。久しぶり」
Aは慌ててカナの様子を盗み見るも、カナがこちらの声に反応した様子はなくほっと胸を撫で下ろす。
「…そういや、よくここに来てるんだったな」
リクオはジト目でAを見つめて来る。
そんなリクオの視線から逃げるようにしながら良太猫に笑いかける。
「あの時の猫…元気にしてる？」
「はい！もうすっかりです。よかったら、また会ってやって下さい！」
そんな二人を少し不思議そうに見つめる良太猫だったが、特に疑う様子もなくそう答えてくれる。
「…うん、近いうちにまた来るね。ね、それより…百鬼花札私とやろうよ」
そんなAの不敵な笑みに良太猫は両手を振りながら曖昧に断る。
「勘弁してくだせぇ！姫とやったらボロ負けですよ〜」
「まあ、私負けたことないもんね」
そんな二人の様子を目を細めて見つめるリクオ。
その後疲れて眠ってしまったカナを背中におぶるリクオ。
「この娘…家どこですかねー？」
「いい…わかるから。小せぇ頃よく行ってたしな…」
「え？え…まさか人間の娘だったんですかー！？」
驚き、嫌われるのではと騒ぐ良太猫にリクオは目を伏せて告げる。
「いいんだよ。怖がらせた方が」
「ホ」
少し目を丸くして見つめる良太猫と、目を見開くA。
お兄ちゃん…やっぱりカナちゃんのことを…。
大切だから遠ざけたいと想う気持ち。
そんなリクオの表情を見てしまったAは、何故か傷ついたように少し俯く。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
