助け ページ48
「家長さん…きこえるかい？実はこの人形、清十字団の通信機になってるんだよーん」
聞こえたのは、清継の呑気な声。
しかし、今この時これほど安心するものはない。
「き…清継くん！？助けてー！！今…妖怪に…鏡の妖怪に…おそわれてるのー！！」
半狂乱になりながらも状況を伝えるカナ。
「今…どこにいるんだい！？」
「今…学校！！どこかの…男子トイレに…」
そんなカナに不思議そうにする探偵団のみんなだが、ゆらの言葉を合図に校舎を駆け巡りながら男子トイレを探す。
駆けつけた男子トイレの鏡の向こう側にカナがいるにも関わらず、何故かその姿は見えないようで気づかずに立ち去ってしまう。
「カナちゃん…いたぁ…遊ぼ…7年前の…続き…」
「いや…そんなの.知らない」
そこで、カナは思い出す。
昔何人かと公園で遊んでいた際に紫色の鏡を見つけそれを見たこと。
その後、一緒に遊んでいた年上の子達が、中学校に上がった後で行方不明になってしまったこと。
妖怪・雲外鏡、通称ー紫の鏡。
"魔を照す鏡"
この鏡を見ると…13歳の誕生日に殺される。古代、13という数字は十三の発音が實生(実る)に近いため妖怪の世界では昔から成人の歳と言われている。その吉日である日にー実った子供を狩る妖怪
「誰も…来れないよ。妖怪じゃないと……入れないから…」
「都市伝説・紫の鏡」にあるー20歳にて殺されるという説は、今の成人にあわせた変化と思われる
そこへ駆けつけたのは、鏡の向こうでカナの姿に気づいたリクオ。
しかし、腹を立てた雲外鏡は鏡を叩き割ってしまう。
「なんで…鏡面世界が見える……ここは…オデとカナちゃんだけ……」
そこで雲外鏡は、本来ならここにいるはずのないAの姿に気がついてその怒りの矛先をまずAに向けた。
「オマエ…なんでここに…ここは…」
「…知らない、けど。あなたが間違えて私も連れてきたんだと思うよ…」
何とか言葉を返すAだったが、激昂した雲外鏡に薙ぎ払われ、壁に勢いよく体をぶつける。
その隙にカナは顔から雲外鏡の体に吸い込まれていく。
慌てて立ちあがろうとするAだったが、どうやら足を痛めたらしくズキッと足首が鈍く痛む。
「…っ」
唇を噛み締めるAの前に現れたのは、妖怪の姿に変化したリクオだった。
「てめーオレのシマで女に…手ェ出してんじゃねぇぞ」
リクオは雲外鏡を抑えるとその手に力を込め、刀でその体を切り裂いてあっという間にカナを救出する。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
