カナの誕生日 ページ46
「ハイそこ！！違う！！式神のかまえは『こう』や！！」
その日の放課後、学校の屋上ではゆらによる妖怪から逃げるためのレクチャーとして、陰陽師の『禹歩』が教えられていた。
そんな巻や鳥居、ゆらを尻目にカナはというと、屋上の床にうつ伏せで横になりながら双眼鏡でリクオとゆらの様子を観察していた。
しかし、そんな自分の様子が馬鹿らしくなり帰ろうとするもその肩をゆらに掴まれてしまう。
「何してるん家長さん。さぁ〜家長さんもレッスンや！ホンマはいの一番に受けてほしいのがあんたなんやで」
そうしてゆらに引きずられるカナ。
そんな屋上へとテンション高く現れた清継は、陰陽護身術の修行風景に感心しながらカナに小さな箱を手渡す。
「家長さん！！今日は君の生まれた日じゃないか〜。マイファミリーへのプレゼントに遠慮なんかいらないよ！！ガンガン受けとりたまえ！！」
「あ…ありがとう」
しかし、箱の中から出てきたのは呪いの人形としか思えない奇抜な人形。
「何…これ…」
凍りつくカナに清継は自慢げにその人形の良さを力説する。
「家長さんを妖怪化した人形だ！！どーだい超絶素敵だろう！！」
女子には不評だが、一応ブランド品だという。
「ちょっと…もう今日は帰るね…」
カナはそう言って足早に屋上から去ろうとする。
「え？おいおい、今日は新着妖怪体験談大発表会という大切なー」
「ごめん…妖怪の話は…今日は…」
そう言うカナの顔色はあまり良くはなさそうだった。
教室に帰って帰り支度を行うカナだったが、昨夜見た変な怖い夢の影響で寝不足なこともあり、そのままうたた寝をしてしまう。
カナちゃん…可奈ちゃん…きみはまだ6つか。じゃあ大きくなったら遊んでね。13歳になったら迎えに来るよ
そう言って6歳のカナの頭に手を置く何かの存在を思い出し、ハッと目が覚める。
ドキドキと心臓が嫌なくらいに激しい音を鳴らしていた。
あくまでも夢だと思い込もうとするが、怖くなって来たカナは慌てて階段をかけおりて学校を出る。
「カナちゃん！」
「…Aちゃん…？」
そんなカナに声をかけたのは同じように鞄を持ってちょうど帰ろうとしていたA。
「どうして…？」
「さっき屋上に行ったら、もう帰ったって聞いて…。誕生日プレゼント、渡したくて」
そう優しく微笑むAの姿にカナはほっと息をつくと少し落ち着いたように笑った。
「…うん、ありがとう」
二人はゆっくりと駅に向かって歩き出した。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
