リクオ、宣言す ページ45
その日、奴良組本家では、リクオが旧鼠事件の際に使用した大きな盃に酒をたっぷりと注いでいた。
そんな様子を興味深そうに見つめる首無と黒田坊。
あの時と同じように奥義・明鏡止水桜を行おうとするリクオだったが、酒はただ盃からボトボトと大量にこぼれ落ちるばかり。
そして、思い盃を持ったまま体勢を崩したリクオはそのまま庭の池へと落ちてしまう。
「ひゃっひゃっひゃっ、な〜にをしとんじゃリクオ〜」
それを見ていたのは何も首無や黒田坊だけではなく。
「そりゃ明鏡止水か？小さい頃はよく見よう見まねでまねしとったの〜」
扇子を持ちながらニヤリと笑って姿を見せたのは、祖父であるぬらりひょん
リクオはその姿を見つけてギョッと顔を引き攣らせる。
「まーたあんときみたいにおじいちゃんみたいになりた〜いとか言って継ぐ気になってくれんかの〜」
「うん。まだ…遅くはないよね」
「れやめとけやめとけ。人間には妖力は使え…」
真剣にそう告げたリクオの姿を捉えたぬらりひょんだが、聞こえた言葉に今まで通り流していた話を元に戻す。
「え？何ー！？」
「じいちゃん…ボク三代目を継ぐ！これ以上組のみんなを…まよわせない」
真っ直ぐとした迷いのない目でそう宣言するリクオの姿に驚き、戸惑いを隠せないぬらりひょんとカラス天狗。
「うぬ〜ワシは夢でも見とるのか。牛鬼は一体何をふきこんだのか…」
「あれ…知ってるの？」
「当たり前じゃ！！カラスの息子に口止めしたらしいが…牛鬼と戦ったらしいな！！あいつめ〜目をかけてやったのにとんだことしてくれたわい！！」
驚くリクオに目を三角に吊り上げながら波紋じゃと暴れるぬらりひょん。
そんなぬらりひょんを必死に止めようとするカラスに、リクオはキラキラとした目で同意する。
「そーだよじいちゃん。牛鬼は組のことを思ってクーデターをおこしたんだ！！いわばボクのせいなんだから！！だから変な処分とかしたらダメだからね！絶対だよ！！」
そう言うと学校に行く準備のために走り出すリクオ。
ちなみに、中身が全て池に溢れてしまったため、池の中にいた河童は酔っ払ってしまっていたが。
「自分を……殺そうとした家臣を……おとがめなしに…しておくだと？なんじゃいクソ甘い…人間のままじゃないか……。そんな純粋な妖怪の総大将がおるか〜い」
「な…何怒ってんだよじーちゃん…」
なんだかんだと甘いリクオの出した結論にまた怒りを爆発させるぬらりひょんだった。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
