幼少期��ーバスの事故 ページ5
その翌日、Aは学校から帰るために校門へ向かっていた。
そこに、カナと話すリクオの姿を見つける。
「お兄ちゃん…と、カナちゃん…？」
不思議そうに声をかけるAに気づいた二人が振り返る。
「A…」
気まづそうに目線を逸らし、少し俯くリクオを不思議そうに見遣ってカナは笑顔でAに話しかける。
「Aちゃん！今日は学校、来られたんだ！」
「うん…。どうしたの…？」
カナが答えようとするも、リクオはその言葉を遮り「Aには関係ないよ！」
その言葉に胸がずきりと痛む。
「…そっか、そう、だよね…。行こう、カナちゃん…」
Aは、戸惑うカナの手を引きそのままバスへと乗り込む。
後ろから、自分に何か伝えようと口を開きかけた兄の様子には気づかずにー。
「珍しいよね、リクオ君とケンカでもしたの？」
バスの中で隣に座ったカナにそう声をかけられ、先ほどのリクオの言葉についカッとしてとってしまった自分の行動に少なからず後悔していたAは、びくっと小さくその肩を震わせる。
「うん…、はじめて、かも」
リクオも悪戯好きなところはあるものの、その性格は極めて温厚であり怒ったりすることはほとんどない心優しい少年だ。
そして、身体が弱くよく熱を出しては学校を休むAを気にかけてくれているのか意地悪をしてくるということもなく、Aの体調が良い時には二人で庭や部屋で遊んだり一緒に妖怪の話をしたりして過ごしている。
Aも、言い争いが苦手であり、何か言われても笑って飲み込んでしまうため今までリクオと冗談を言い合ったりしていても「しょうがないなあ」と流してしまっていることばかりで言い返したこともない。
そのため、お互いにどうすれば良いのかわからずに意地になってしまっているだけなのだが。
「だいじょうぶよ、二人なら」
「…ありがとう、カナちゃん」
Aはカナの優しさが嬉しく、そう言って微笑む。
頭を過るのは、バスに乗らずに帰る兄の姿ー。
お兄ちゃん、だいじょうぶなのかな…。
その時、反対側に座る女の子の口から聞こえた言葉に思わず目を見開く。
「何人も子供が神隠しにあってんだって！ちょうど…このあたりで…」
子供が神隠し…。それって…！
頭に浮かぶのは、奴良組にいる、一人の妖怪。
清継が前の座席から振り返ってその女の子の言葉に言い返したと同時に、大きな岩がバスの前方に落下してその衝撃でバスはトンネル付近で生き埋め状態となる。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
