リクオvs午頭丸 ページ39
倒れ込んだ氷麗を咄嗟に抱き止めたリクオを馬鹿にするように笑う午頭丸。
「ざまあねぇな。そんな弱っちぃ娘に守ってもらわなきゃならない妖怪の総大将なんてよ…。そんな奴は必要だと……思わんか？」
「何者だ…あいつ。やっぱり…牛鬼の手下なのか…」
「わかりません…私…身内と思いつい油断して…でも…あいつリクオ様を本気で殺しに来てる！」
そう言い無理をしながらでも立ちあがろうとする氷麗を止めるリクオだが。
「でも…でもリクオ様は！！人間なんです！！リクオ様が傷ついたら…私…」
悲痛な声を上げる氷麗の頭をぐっと近くに寄せながらリクオは真っ直ぐと午頭丸を見つめた。
その瞳はいつもの穏やかなものではなく。
「いーから。心配しなくていい。まってろ」
その様子を目を丸くして見つめる氷麗。
「死ね。奴良リクオ」
踏み込んで向かってくる午頭丸の刀をしっかりと受け止めるリクオ。
「この午頭丸の『爪』が"ふぬけ"にかわせるか！！」
激昂する午頭丸の鋭い刀捌きをを凌ぎ続けるリクオ。
そんな様子を不思議そうに見つめるのは氷麗だけではなく、午頭丸も不信感を募らせていた。
何せ、リクオは人間の姿でありながら午頭丸と対等に渡り合っているのだ。
ギッと強く唇を噛み締めた午頭丸は自身の技"午頭陰魔爪"を繰り出し、何やら呪文を唱えながら背中から爪を出して正面からも横からもリクオに襲いかかる。
刀を何とか防いだリクオだったが爪による攻撃には耐えきれず地面に倒れ込んでしまう。
その際、メガネが外れてしまい地面へと転がる。
「牛鬼組は人をあやつり惑わしひきよせ殺す『おそれ』の代紋」
そんなリクオに畳みかける午頭丸の刀を受け止めるリクオ。
二人の激しい攻防が続く中、午頭丸は二本の爪と刀でリクオを追い詰める。
「それで止めてるつもりかぁ！！これで最期だよ！！」
しかし、リクオは勢いよくその爪を叩き斬った。
「なぜだ……妖怪でもねぇ……てめぇに……」
呆然としながら崩れ落ちる午頭丸にリクオは告げる。
「血なら流れてる。悪の…総大将の血がな……」
その姿は、夜の姿ー妖怪の姿に変わっていた。
心配して駆け寄る氷麗に、リクオは憂いを帯びた表情で告げる。
「もう大丈夫だ。知ってたよ。自分の…こと…夜、こんな姿になっちまうんだな」
「若…」
その時、リクオと氷麗を探しに外へ出たカナが階段に落ちるリクオのメガネを発見する。
そこへ現れたのは、眠る氷麗を抱き抱える夜のリクオだった。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
