妖怪探索の行方 ページ37
あれは…三羽鴉！
その姿を目に捉えたAは、ほっと安堵の息をこぼす。
温泉に突き落とされた馬頭丸は勢いよく顔を上げる。
「ブハァ！！なにしやがるー！！てめえら…何者だぁー！！」
そんな馬頭丸を冷ややかな目で見つめる三羽鴉達。
「小僧。自分が誰に口をきいているかわからんのか。ワレラは鴉天狗一族…知らぬわけではあるまい」
「カ…カラス天狗！？本家の…お目付役…なんで…ここに…」
正体を知り慌ててふためく馬頭丸は、タオルを巻いただけのゆらやAの姿を見てさらに焦った様子だった。
「けがらわしい…女湯をおそう妖怪か…」
そんな馬頭丸を冷めた目で見つめるのは、三羽烏のササ美である。
完全に勘違いをされてしまった馬頭丸は、違う意味でもしどろもどろになる。
「あ…いや…」
「小僧…てめぇに聞きたいことがある」
Aはそんな様子をほんの少しの同情を抱きながら見つめる。
そこで、ふと三羽鴉達と目が合うと曖昧に微笑んだ。
よかった…これで一先ずは…。違う！私達のところに来ているなら、お兄ちゃんにも…！
察したAは、慌てて建物の外へと走り出した。
一方
妖怪探索に出かけたリクオ達の近くの木上では、午頭丸が怪しげな笑みを浮かべていた。
頭の中では、数日前の牛鬼の発言を思い出していた。
「午頭丸、馬頭丸、こっちへ。この山に奴良リクオを入れる」
「牛鬼様！？」
「そんな…危険です！」
反対する二人を見つめた牛鬼は静かな目で二人を見返す。
「私には…考えがある。長い間…考えて出した…『結論』が…」
旧鼠の事件で、ぬらりひょんを含め幹部達は裏切り者の存在などを強く意識している。
そんな状況でリクオを招き入れるなど危険なこと。
しかしー
「あなたの『考え』ならばしたがう…までですよ…」
清継が見つける様々な妖怪スポットに反応し、リクオを守るために動く氷麗だったが、見事に空回りしていた。
そんな氷麗に呆れるリクオに、氷麗は自信満々に宣言する。
「若を守るのが私の…役目でございます！！」
そんな氷麗に、人間である清継や島を守ることを優先するように告げるリクオ。
「牛鬼の山なんだろ？うちの組の奴だけど…何かあってからじゃ遅いんだ」
「そーですけど…」
そんなリクオに少し落ちこむ氷麗。
しかし次の瞬間、清継と島の二人は何かに操られたように何かぶつぶつ呟きながら別れ道をバラバラに歩き出した。
そんな様子を二手に分かれて追いかける氷麗とリクオ。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
