温泉での戦闘 ページ36
男子達の様子など知らない女子達は、温泉で羽を伸ばしていた。
そんななか、氷麗がいないことに気がついて声を上げる巻の言葉に、カナは慌てて温泉を飛び出した。
そんな温泉に集まる妖怪の気配。
ふと誰かからの視線を感じ取ったゆらとAは、怪訝そうな顔で外を見つめる。
「どしたのゆらちゃん、Aも」
「…なんか…視線を感じて…」
「Aも？」
「…あ、うん…見られてるような…」
でも、この気配は…。
そんな二人の言葉を聞いて男子達が覗きをしているのではと疑った巻は、塀の方へと怒鳴り声を上げる。
「ちょっと…いるなら出てきなさいよ」
しかし、その言葉を受けて姿を現したのは巨大な妖怪達。
そしてその影には、妖怪達を操る馬頭丸の姿。
「クカカ…喰え」
馬頭丸の合図と共に、妖怪達がA達の方へと襲いかかる。
それに対抗するように、ゆらは式神を召喚する。
「禄存！！」
旧鼠事件の時とは違い鹿のような式神だ。
ゆらちゃん…この歳で二体も式神を…！
それに気づいた馬頭丸は、妖怪達に指示を飛ばし巻や鳥居を先に狙うように指示を出す。
なんとか食い止めようとするやらに対し、清継の話していたセキュリティを思い出し建物の中へと入った二人は、見つけたセキュリティシステムを押すが侵入者への警報を鳴らすだけで何の役にも立たなかった。
その二人に近づく妖怪達。
そんな二人の前にゆらはさらにもう一体の式神を呼び出す。
「武曲！！」
「拙者…ゆら様の命によりお守りいたす！！」
今度は武士のような鎧兜を見に纏った式神。
三体！？
Aはゆらの才能に驚きながらも冷静に状況を見極めていた。
その状況に、馬頭丸は焦りを募らせていた。
「午頭丸の奴…なにが『三代目のいない楽な方だ！！ちくしょ…しっかり強ぇのがいるじゃねぇか！！早く牛鬼様に勝利の報告をしたいのにィ…午頭丸よりも…早くっ…。またっ…バカにされる！！なんだよクソッ！！行け！！うしおに軍団！！根香！！宇和島！！てめーらの怪力見せつけろー！！」
「えーかげんにせぇ！！」
襲いかかる馬頭丸とその妖怪達に対応するゆらだったが、妖怪に何かされたのか白目を向いた巻や鳥居に抱きつかれ、動揺して温泉の中にひっくり返ったことで式神が消えてしまう。
それを好機と見た馬頭丸達は勢いよく奇襲をかけるが、そこへ空から降ってきたのは三人の妖怪。
彼らはあっという間に馬頭丸の妖怪達を大人しくさせる。
「若は…いないのか」
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
