ゴールデンウィークの予定 ページ32
「大丈夫？リクオくん…お薬のんだ？」
「あ…まだ…カナちゃん…あのあと無事帰れたんだね…よかった」
「うん？ちょっと待ってて。お薬もらってくるね」
リクオの失言はカナには聞かれていなかったようで、カナはそう言って部屋の戸を開けようとするがそこに薬を持ってきた雪女と鉢合わせしてしまう。
動揺した雪女はお茶の入った湯呑みを落としてしまう。
「ははーん！！さては先にお見舞いに来たな？お茶まで持ってきて…気がきく娘だ」
清継はそう言って勝手に納得してくれる。
リクオはその清継の発言に乗っかってしまうことにした。
「そ…そーなんだよ、みんな…ほんの十分程早く彼女は来ただけで…」
「そーですよ…途中までは一緒だったでしょ」
雪女も乗っかることにしたらしい。
しかし、カナは先程のリクオと氷麗の発言を思い返しては二人の関係性を怪しんでいた。
そんな状況を気にも留めない清継は、ゴールデンウィークに妖怪博士に会いに行くための合宿を行うと宣言する。
「場所はボクの別荘もある捩眼山！！今も妖怪伝説が数多く残る彼の地で…妖怪修行だ！！」
「捩眼山…？それって…」
思わずそう声を出してしまったのはA。
思わず、そこにいた全員の視線がAに向く。
「おや？君は誰だい？」
「もー！Aちゃんだよ」
カナの言葉にも不思議そうに首を傾げる清継。
そんな清継にリクオは氷嚢の下で何とか声を出す。
「やだなあ、ボクの妹だよ」
「何！？奴良君、君妹がいたのかい！」
驚く清継に島、そしてクラスメイトの巻と鳥居。
「奴良の奴ににこんな可愛い妹がいたのか」
一方で、視線を向けられたAは少し居心地が悪そうに眉を寄せる。
「私…小学校は休みがちだったから…。今もクラス離れてるし、あんまり会ったことはないかも。いつもお兄ちゃんがお世話になってます…」
そう言って控えめに微笑むAに、清継や島だけでなく何故か同性の巻や鳥居も少し顔を赤らめる。
そんな表情の変化を見てしまったリクオは、まるでヤキモチを焼くかのように不満げな表情をしていた。
「奴良君の妹だというのなら、君も清十字怪奇探偵団の一員だ！一緒に捩眼山に来たまえ！」
「え…」
「あ、いやAは…」
動揺して思わず言葉に詰まってしまうA。
しかし、自分の参加を否定するリクオを軽く睨みつけると清継に向かって笑いかけた。
また、私だけ蚊帳の外に置こうとするんだから…。
「ありがとう。よろしくね」
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
