陰陽師ー花開院ゆら ページ19
「まったく貴重な資料を…名誉会員から外してしまうよ…」
リクオ…名誉会員なんだ…。
何も変化を見つけられなかった清継は、気を取り直したように日記の続きを読み進める。
「2月24日。彼氏に言って遠くの山に捨ててきてもらった。その日の夜…彼氏から電話『助けてくれ…気づいたら後ろの座席にこいつがのってた…』」
「え？ど、どーなるの？それで」
次に何が起こるのかと冷や汗をかきながら問いかける。
「考えてみれば昔から変だった…この人形…。気づけば髪がのびているようにも見えた…」
リクオと雪女の反応を見て自身も人形の方を振り返ったAは、その人形の髪が実際に伸びているのを見て小さく吐息を漏らす。
「え…」
凍らせるかどうするか対処を考え始めるリクオと雪女の様子など知る由もなく、清継は日記を読む。
「2月28日。引越し前日。おかしい…しまっておいた箱が開いている…」
その言葉をきっかけに、人形の顔は般若のように恐ろしい形相に変わり刀を振り上げていた。
これ以上日記が読まれるのを止めようと声を上げたリクオの目の前に飛んできたのは、数枚のお札。
それらは人形の顔に飛んでいくと、凄まじい程の衝撃を生じさせた。
「浮世絵町…やはりおった。陰陽師花開院家の名において、妖怪よ。あなたをこの世から…滅死ます！！」
数枚のお札を手に立つのは、今日やってきた転校生ー花開院ゆらだった。
「陰陽師…だって！？け… 花開院さん！？今…たしかに…あなたそう…言ったんだね！？」
驚く清継たちに対しゆらは静かに頷く。
その様子に本当に妖怪がいたのだと感激して叫ぶ清継とは正反対に、リクオは雪女に問いかける。
「ね、雪女…陰陽師って何？」
しかし、雪女は側から見ても丸わかりなほどガクガクと震えるばかり。
「私は…京都で妖怪退治をなりわいとする陰陽師ー花開院家の末えい…。この町…浮世絵町はたびたび怪異に襲われると有名な街。うわさでは妖怪の主が住む街とすら言われているんです…」
ぎくりと動揺を隠そうともしないリクオと雪女。
二人とも…いくらなんでもわかりやすすぎるよ…。
「私は…一族に試験として遣わされたんです。より多くの妖怪を封じ！！そして…陰陽道の頂点に立つ花開院家の頭首を継ぐんです」
そう晴れやかな笑顔で宣言するゆらに、清継はかつて出会った妖怪の主を探そうと協力を呼びかける。
こうして、清十字怪奇探偵団なるものが正式に始動されることになったのである。
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
