四分の一どころか普通の人間でした (ページ16)

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盃を交わすページ16

突然目の前にやって来たリクオに驚く鴆と蛇太夫。

「お供はどーしたんだ…オレじゃ…お前は守れねぇってのに…」

「くく…丁度いい…このウツケ者の反対派は幹部にも多いときく…。殺してオレのハクがつくってもんだ！！」

勢いづいたのか襲いかかってくる蛇太夫と、それに焦る鴆をよそに、リクオの姿はいつかのように変化していた。

「許せねぇ」

「ど…どけ！？リクオ！！お前に何が出来る！？」

「下がってろ」

そう言った化と思うと、向かって来た蛇太夫に真正面から刀を口の中に突っ込むと真っ二つに切り裂く。

驚き目を見張る鴆とカラス天狗。

「あんた誰だよ…？」

「リクオ様…また…覚醒されたのですか…」

「リクオ？リクオだって！？」

妖怪の姿を見たことがない鴆はカラス天狗の言葉に目を丸くする。

「よう鴆。この姿で会うのは初めてだな」

「…なるほど…。四分の一は…妖怪だってーのか…。なっさけねぇ。こっちはれっきとした妖怪だってのに。結局…足手まといになっちまってる…」

そう言うと鴆はまた咳き込む。

その様子を見つめるリクオに鴆は怪しく微笑みながら告げる。

「なぁリクオ。今のオメエなら…継げんじゃねぇのか？三代目。オレが死ぬ前に…晴れ姿見せちゃあくれねぇか」

「飲むかい」

そんな鴆にリクオは詫びの品として持って来た妖銘酒を見せる。

「いいねぇ…オレに…酒をついでくれんのかい。ついでに…あんたの盃もくれよ。オレは。正式にあんたの下僕になりてぇ！どーせ死ぬならアンタと。本当の義兄弟にさせてくれ。親の代じゃねぇ…直接あんたから」

「いいぜ。鴆は弱ぇ妖怪だかんな。オレが守ってやるよ」

不敵に笑うと、二人は互いの腕を交差させて盃を交わす。

その姿を名残惜しそうに見つめるカラス天狗の思考が、Aには手に取るようにわかった。

「…カラスよ。あとどれほどの盃を交わせば…妖怪どもに認められたことになる？オレは三代目を継ぐぜ」

そうリクオははっきりと宣言した。

その宣言を聞いたAは、カラス天狗の側に歩み寄る。

「この姿を見せたら…反対してる幹部も納得してくれるのに」

「A様！？」

驚きこちらを見つめてくるカラス天狗と目を合わせるとAは少し泣きそうな顔で微笑んだ。

「ねえ、カラス天狗…お兄ちゃんが三代目を継いだら…私はー」

こぼれ落ちた言葉に、カラス天狗は目を見開く。

「それは…」

そんなAの様子を、リクオはただ黙って見つめていた。