鴆という妖怪 ページ14
「若はおかわりなく…今日はどんな『イタズラ』をされたんですかい？」
少しだけ鴆のことが苦手なリクオは、冷や汗を浮かべながらも会話を続けていく。
「総会に中々参加できず申し訳なく思っております」
そう言って頭を下げる鴆。
「え？あー大丈夫あんなの！どーせ悪事自慢大会なんだもん！ハハハ」
「なんと！？そのような発言！若がおっしゃってはなりませんなぁ〜…。なんせ若は万の妖怪の主となるのですからな！！」
ニコニコと笑う鴆の言葉に、リクオの表情が引き攣る。
「若が奴良組三代目を継ぐ姿をこの鴆、今か今かと楽しみにしているのです！」
「やめてよ〜ボクは継げないよ。人間だし」
そのリクオの言葉に、これまで低姿勢で穏やかな笑みを絶やさなかった鴆の仮面が崩れ去った。
「ふざけんじゃねぇ〜！！きいてるぞリクオよ！！てめぇがふぬけで…誰一人賛同を得られず三代目を継げんでいるのを！！」
「だ…だって妖怪の総大将が人間だったら変でしょ？だからボクが継ぐのはムリだよ！」
次の言葉に、怒り狂った鴆は己の羽根を撒き散らす。
「死ねぇいぃ、このうつけがー！！いつのまにそんな軟弱になりおったー！！こんな奴のために…生きているわけじゃないわー！！ええい帰る！」
しかし、その勢いで吐血してしまう。
「鴆」という妖は…その羽を酒に浸せば五臓六腑が爛れて死に至る猛毒の鳥妖怪。
薬・毒薬を司る「鴆一派」の頭領。
どのような薬も経年によって猛毒へと変わるように、鴆も生まれた時にはそれは美しい鳥であるという。
やがて元服のころ…羽が猛毒へと変わる。
だが反面、その特性のためか…一族は大変体の弱いーいつ消えてもおかしくない。
はかなげで…弱い妖怪。
そんなカラス天狗の説明を聞きながら、リクオは鴆が奴良組に来た原因が祖父のせいだと気づき責め立てる。
「なにかんがえてんだよ！！鴆くんは動いちゃいけない体だってのに！！ひどいよ」
「ひどい…？フン…そう思うのなら…ワシの奴良組…やっぱお前にゃゆずれんわ」
そう言って部屋を後にするぬらりひょんに不満をぶつけるリクオに、カラス天狗は奴良組の組織図を持ち出し奴良組の意味を説く。
「日本には古来より…様々な妖怪がいます。海のもの…山のもの。人型・獣・付喪神…そのほとんどが『闇』にひっそりと生きる『弱い』者なのです。それら弱い妖を守る器…それが…奴良組の一面でもあるのです。リクオ様…あなたがこの一面も継がなければ誰がやるのです…？」
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作者名：エッグタルト | 作成日時：2024年1月15日 0時
