ヤンキーの彼は岩本照【snowman】

ヤンキーの彼16 ページ16

Aside



違う。

違うのヤンキー君、今のは恥ずかしくてつい……








『待って……！』









階段を降りていくヤンキー君の背中が、
どんどん遠ざかっていく。









最低だ私…

ヤンキー君に嫌な思いをさせてしまった…。









『……あれ…いな…い…』









玄関につくと、彼の姿はもうなかった。









『…………』









この時、悟った。









彼がいなくなって寂しい
離れたくない。そばにいたい。









そう思うのは
私がただヤンキー君を
かっこいいと見ているだけじゃない。









きっとこれは…









私はヤンキー君のことが…









『っ……』









･









その時、頬に1粒の涙が零れた。___








･









｢泣くな。｣

『え…』









声がして、

とっさに涙で霞んだ目を拭うと、目の前には彼がいた。









『なん、で…』









ヤンキー君が…いる…









岩｢先に外で待ってただけ｣









『………』









そうだったんだ。

と、ホッとする反面…



どこまでも優しいヤンキー君に胸が締め付けられて
泣いてたのがバレて恥ずかしい気持ちが混ざって



とにかく、




心が苦しい……









岩｢ごめん。足、痛かったな｣

『…っ……』









優しい声が、さらに胸を締め付ける。









『ううんっ…謝るのは私だよ。ごめんなさい…！！』









全力で頭を下げた。

少しでも、誠意が伝わるように。









岩｢いいから、靴履き替えな｣

『……うん、』









背を向けて、玄関の入口に寄りかかるヤンキー君。









彼の背中を見て思う。









私の見る目は間違っていなかったこと。









知れば知るほど、嫌われる理由が見つからない。









けど、誰にも知られたくない。









そう思うのは、









わがままですか？

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