踊る料理人3 ページ36
「(『ライブクッキング』という言葉がある
完成した料理をお客様の待つ卓に運ぶのでなくお客様の目の前で調理を行う演出のことだ
それは味への期待感を高め『素材』が『料理』に変貌する様は高揚感を与える)」
「わ〜スゲー!!
どんどん出来てく!」
「超はえぇー!」
「かっけぇ…」
男の子たちは目を輝かせながら見てる
「(まるで華やかなショーを見せるように…
幸平は客の心を惹き付けている!!
己の技量の…
調理そのものを魅せることで状況を逆転させるとはな…!)」
「残り時間…
あと5分!!」
恵とタクミが見守る中次々と料理を提供するA
そしてー
「<幸平A
200食達成!!>」
残り5秒で200食達成させた
カチッ ビーッ
「終了ー!
そこまでだ!!」
『っふー…』
Aは頭に巻いていた手拭いを解いた
恵とタクミは安堵の表情をした
「……っ
何よ…!
その『見たか』って顔は!!
時間ギリギリで達成なんて威張れる事じゃ…」
「びっくりだわ!!
私てっきり8食くらいで止まってると思ってた!」
ドヤ顔しているAにイラッとしていたがある女子生徒が割って入ってきた
「…なのにあんな曲芸で乗り切っちゃうなんてね」
『……あ?』
その頃堂島と瀬名が会場の端で話していた
「怒涛の勢い…
でしたね
まさかあそこから合格とは」
「うむ…
(この課題でまず必要なのは『状況(シチュエーション)を想像する力』
ホテルの朝食…
そしてビュッフェという現場においてどの様な料理が必要なのかを頭の中で如何に具体的に描けるかが鍵になる…
そしてもう一つ…
常に想定外の事態が起こりうる厨房で最も必要とされる能力…
メニュー選びで抱えた大きなハンデをヤツは『現場での対応力』で見事覆したのだ…!)」
「荒削りだが…
面白い素材のようですね
…一方で
計407食…!!
全生徒で唯一で400の大台に到達した薙切えりな
そして数十分を残して380食をさばいた彼女…
その他にも今回は各会場に輝きを放つ様な料理人が出揃っています」
「でもあんな曲芸頼りの料理じゃ到底てっぺんなんて獲れないわ
必要なのは最先端の理論に基づいたアプローチで構築された仕事
例えば…
私の料理みたいね」
女子生徒はにっこりと笑って言う
「――まだ名乗ってなかったわね」
「例の選抜
非常に興味深いですね」
「ああ
実に楽しみだ」
「私は薙切アリス
君たちの頂点に立つ者よ
覚えておいて」
この玉たちが全力でぶつかりあう大舞台――
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作者名:レンサ | 作成日時:2019年2月13日 0時