蜂と蜜の間で。～ Ren.M ～ (ページ26)

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怖くて、。ページ26

コウタは、私の手を掴んだまま、
受付を済ませ、予約していた部屋へと私を連れていく。

『…、コ、ウタ？ここは、？』

「ホテルだよ。今日の為に、予約しておいた。」

『何、する気なの？』

「…俺はね、欲しいものを手に入れる為なら、手段を選ばない。
俺は、今はAが欲しい。
なら、手に入れるしかないでしょ？」

『…っ、きゃっ！』

コウタの話を聞いている内に、私はベッドへと放り投げられた。
気づいた時には、コウタが私の上に跨っていた。

『…コウタ、コウタ、や…めて』

「今から俺がしようとしている事、予想できる？」

そんなの、予想なんてしたくない。
今のコウタには恐怖の2文字がぴったり。

「大丈夫。Aに拒否権なんてないから。」

『やっ…！』

声を上げようとした時には、もう遅かった。
声を出せる口は既にコウタに塞がれていた。

『んー！やめて！…っ』

私の言葉を無視して、手を進めるコウタ。
身体がゆっくりと撫でられる。

気持ち悪い…！！

手でコウタを押し返そうとしても、男の力に勝てるはずは無く。
終いには、両手を頭の上で固定された。

『やだっ…！やめて！やめて！コウタ！』

首元に生ぬるい感触が。
自分が何をされているのか分かるのには、時間はかからなかった。
怖くて、怖くて、涙が溢れてくる。
あの時、優しかったコウタの面影なんて微塵もない。

「知ってる？抵抗されればされるほど、燃えるんだよ。」

『やだっ…！やっ…』

ボタンがゆっくりと右手で外される。
左手は、身体をずっと撫でている。
気持ち悪くて、怖くて、全てが涙となり溢れていく。

足をバタバタさせても腕を解こうとしてもびくともしない。
…女って弱すぎる。
もっと、私が強ければ。

私は…このまま、されるがままで終わってしまうの？
私は…このまま、汚れた人生を送るのだろうか、。

腕を解こうとした時に、引っかかれた傷がズキズキと痛む。
その痛みが、夢では無いことを私に思い知らせた。

あぁ、…もうダメなのかなあ …。

・

その時、どこからか着信を知らせる音が。

「こんな時に誰だよ。」

フッと力が一瞬緩まった。
今しかない。

直感でそう感じた。

「…いっ！！…何すんだよ！！」

私は、コウタの頭に向かって、束ねられている両手を振り下げた。
両手は見事、頭を直撃し、コウタは痛みで一瞬縮こまった。
その一瞬の隙をついて、私は荷物を持ち、部屋を出た。