蜂と蜜の間で。～ Ren.M ～ (ページ24)

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『えっ、？』

顔を上げると、それはコウタだった。

『なんだ、コウタか。』

「なあにやってんだよ笑」

『あはは笑ごめんごめん、前見えなくて。』

「ほんと、昔からドジだよなAは。」

『コウタこそ！』

コウタは、2年前に付き合っていた、いわば元カレ。
付き合っていた頃は、違う職場で働いていたんだけど、異動の関係で最近同じ職場に。
同じ職場でも、役割や担当が違うから、普段は会うことはほとんどない。
私も私で、このスタジオと事務所を行ったり来たりしてるから、接点はないと言ってもいい。
でも、なぜか今日だけは、同じスタジオでの仕事だった。

『ごめんね、箱、持たせちゃって。』

「全然。こんなのA運べるわけないでしょ？｣

『ありがと。』

「あ、そうだ。A、今日終わった後、ご飯どう？」

『え？ご飯？』

「うん、久々に会ったし、仕事の事とかも聞きたいから。」

『うーん、今日何時までなんだろ。』

「同じくらいに終わるでしょ。なんなら待っとくし。」

『…うん、わかった。』

「よし、じゃあ後でね。」

ダンボール箱を運び終わり、元来た道を戻る。
久々の外での食事。
相手は…まあ、うん。
でも、元カレとご飯なんて世の中よくあるよね。
私だけじゃないはず。