蜂と蜜の間で。～ Ren.M ～ (ページ22)

今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:69,013 hit

3 ページ22

電話を切り、楽屋に戻ろうとした時、
廊下を歩いているAちゃんの姿を見つけた。
後ろ姿しか見えないけど、明らかに頭の上から見えている、大きなダンボール箱。

あれ、前見えてんのかな笑

くすくす笑いながら、見守っていると
ふらっとAちゃんは、大きなダンボール箱と共に倒れた。

あーあ、前見えるわけないよねあの大きさで。
助けに行ってやるか。

と、Aちゃんの方に近づいていくと、
横から1人の男がAちゃんの横にスっと手を差し伸べた。

俺はその場に立ち尽くす。

「なあにやってんだよ笑」

『あはは笑ごめんごめん、前見えなくて。』

「ほんと、昔からドジだよなAは。」

『コウタこそ！』

コウタ…？
…昔から？しかも、呼び捨て？

「その大きいダンボール、俺運ぶよ。」

『えっ、いいよ。私が頼まれたんだもん。』

「何回も倒れられたら、中々進まないよ笑｣

『そうだね笑お願いします。』

俺が見ているとも知らずに、仲良さそうに隣同士で歩いていく2人。
内容は聞こえないけど、楽しそうに話をしながら歩いている。

俺には分かる。
Aちゃんはきっとあの人の事が好きなんだ。
俺たちには見せない…、見たことの無い弾けるような笑顔。
彼氏は居ないって言ってたから、きっと好きな人。
そっか。好きな人居たんだ。

…残念。

…

…ん？あれ、なんで今、俺残念とか思った？
いや！まさか！いやいやいや！そんなことないから。

ただ、仕事場の仲良い女の人。

そう。それ。
しかも俺、今避けられてるし！
そう考えたら、避けられてる人の事好きになったりしないだろ！

向「めめ？」

目「うおお！」

向「そんな驚く？笑」

目「急に来るから。」

向「飲みもん買いに行こー思たら、めめが廊下で立ち尽くしてたから。」

目「ああ、ごめん。ちょっと考え事してた。」

向「廊下で考え事なんて、変わっとるなあ～」

目「そういう人も居るの。」