異能力『コピぺ』の姉

21年で終わらないようです我が人生 ページ3

聞いたことのある素敵なイケボがした方に視線をむけた。

その瞬間、

私は目の前の光景に目を奪われた。

「芍薬の如く凛としてそして可愛らしいお嬢さんだ」

ふわふわした黒髪、

優しそうに見えて底が計り知れない鷲色の瞳、

そして砂色の外套。


「どうか私と心中していただけないだろうか」



はい、決定。この方は正真正銘、『文豪ストレイドッグス』の太宰治さんです。


て、だだだだだだだだだだ太宰さん！？
は！？あ、そうか夢か夢オチかこれ！

私は思いっ切り自分の頬をつねった。


どうしよう。すごく痛い。
つまりこれは、夢ではないということだ。

・・・・・・いやいやいや。そんなことあるわけｎ



「こんな処に居ったか唐変木！」


おうっふ・・・・・・。
これまた聞いたことのある素敵なイケボがしたのでそちらに視線をむける。
そこには、

一つに束ねた長髪、

眼鏡越しにこちらを見るきりりとした瞳、

そして『理想』と毛筆で書かれた手帖を持った男性が立っていた。

国木田さんでございます！！

彼は清々しい程の勢いで太宰さんの頭をぶったたくと、私からべりィと引きはがしこちらに深々と頭を下げた。

「うちの阿呆が失礼しました」
私は慌てて両手と首を振った。
「いえいえ、大丈夫です！お気になさらず！」
国木田さんはもう一度頭を下げると、「では」と言って、ずるずると太宰さんを引きずって去っていった。

私はしばらくその場でぽかーんと口を開けて立ち尽くしていた。
もう一度だけ、頬を思いっ切り捻った。

痛い。

あぁ、そうか。
異世界転生が良かったとか言っていた数分前の自分を殴りたい。
ありがとうございます、神様。






妹へ
お姉ちゃんは文ストの世界に転生したようです。

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