第六符・蛇桜咲全人不可知事 ページ6
乾叉さんと緊叉さんが歌う『紅椚』は、想像を絶するものだった。
心がどんどんおおらかになるような、やわらかくなれるような、そんな気分にさせる歌だった。
乾叉さんは懐から愛用と思われる琵琶(びわ)を取り出し、音を奏でながら合間に緊叉さんと和音を歌った。
一方緊叉さんは声のみで、乾叉さんの演奏に合わせて、穢れ無き美しい音を響かせた。
二人とも、先ほどとは打って変わって雰囲気が全く違ったうえに、その美しい声ときた。
私は心を打たれ、演奏が終わった後もしばらくぽかんとしていた。
「どう? すごいっしょ?」
「ま、いつもの半分も出してないけど」
「嘘吐け! 結構ノってたよ!」
「んなわけないじゃん」
「?」
このとき、私は何か奥から沸いてくるような力が込み上がってくるのがわかった。
この力がなんなのかは、まだわからない。
でも、なんだかもの凄いような――?
―――
「力が沸いてきた?」
「……うん」
「うーん、それはもしかして……能力に目覚めたのかな」
「能力?」
乾叉さんに『力』のことを相談したところ、もしかしたらそれは『能力』かもしれないということが判明した。
能力というのは、一度現世から亡くなった人間にのみ付与される力らしく、その種類は透明化、飛翔可能、巨大化、最小化など本当にたくさんだという。
私の能力はなんなのかはまだわからないが、乾叉さんは続ける。
「じゃ、俺っちたちのリーダーんとこ、行く? リーダー、そういう能力開花とかに強いし、何より頭いいし。プラスめっちゃ強いんだよね〜」
「リーダー、いるんだね」
「そりゃいるよ〜! 俺っちたちほんとはグループだもん。あ、そのリーダーの名前、天叉(あまつかさ)っていうんだー、ま、覚えといてね」
こうして、私と乾叉さん、そして緊叉さんはリーダー・天叉さんのところへと向かった。
―――
「――乾叉と緊叉か。入れ」
「「はい」」
「……其処元は何者だ」
「あっ」
天叉さんなる人の元へ来たはいいけれど――、
「まぁまぁリーダー! そんな緊張させないであげて? 彼女は離人(はなれびと)の幽衣、霊野幽衣だよ」
「そうか。では霊野幽衣よ、入れ」
「はっ、はい……」
私はびくびくしながら歩き出す。すると、緊叉さんが突然耳元で口を開いた。
「落ち着いた方がいいよ。天叉、君のことすぐ気に入ると思うから」
「? は、はぁ……」
言葉の真意はわからなかった。
―――
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作者名:NiKo-KiLL | 作成日時:2015年8月28日 0時