第一符・神とヒトの世界を結ぶ処 ページ1
「霊野ってさー、なんか不気味だけど美人だよな」
「それな! 俺もずっと思ってたんだよ〜」
教室内、私の席は窓際一番後ろ。昼休みは人が少なくなるから、多少は本が読みやすい。
廊下やテニスコートからは時折女子の黄色い悲鳴やら、男子のけたたましい叫び声が聞こえてくる。それを覗けば、まぁ環境は良いと言っていいだろう。
しかしまぁ、本人がいるにも関わらずそういうことを軽々しく言えるものだから、男子は本当にすごいと思う。
「なになに〜、霊野さんの話〜?」
「なんだよ高木か〜、うん、まぁそうなんだけどさ」
「好きなの?」
「ばっ、そんなんじゃねーって!! 勘違いすんなよなっ」
「冗談だよ〜、ま、俺も気になってるっちゃ気になってるぜ」
私の席にほど近い、掃除用具入れの前でたむろして私の話をしている。
向こうは私に気付いているのだろうか。
先ほどまでは峰山と茂木の男子二人だったが、たった今学校の女子の憧れ的存在の高木がたむろに入った。あぁ、廊下に先輩とか同級生が集まってきちゃったな。
「おい高木、いいのかアレ?」
「あぁ、ま、アレにはこれが一番だぜ、っと」
高木が廊下に沸いた女子たちにウインクする。
即効で黄色い悲鳴に包まれ、いよいよ読書できる環境ではなくなってきた。
私は本を閉じて席を立とうとする――が
「おっと霊野さんどこ行くの?」
「――図書室です」
「そっか〜、んじゃ俺たちも行くかな! 峰山、茂木、行くぞ〜」
「「俺たちも!?」」
そうして、私は余計な荷物を後ろに率いながら図書室に向かった。
―――
「ねぇねぇ、霊野さん。髪ゴムとか持ってない?」
「ゴム? あぁ、ありますけど……」
「あと櫛」
言われるがまま、私はポケットから黒い櫛と髪ゴムを取り出した。
それを手にした高木は、何を血迷ったか、私の髪をすき始めた。
「!?」
「あー、ちょっとじっとしてて〜」
抵抗はしない方がいい、と思い、私は高木に髪をいじられながら読書に没頭した。
―――
「――はいおっけ! どうよこれ!」
「――!!!」
伸び放題だったがさらさらしていた私の髪を高く上で結ってある。いわゆるポニーテールだ。
「これ、初めて」
「マジ!? いいじゃん似合ってるよ! 今度からそれで来なね、幽衣」
「幽衣、ってそれ、私の名前」
言い終わる前に、高木はどこかへ行っていた。
この後起こる事態なんて、予知術で知れたのに。どうして。
―――
長編シリーズです!!
がんばります!!!
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:NiKo-KiLL | 作成日時:2015年8月28日 0時