My House【短編集】

ー ページ46

『……ねぇ、ヌナはさ、浮気されてもそれでも彼と結婚しようとするのはどうして？

……そんなに、彼が、好き？』





俺の質問に、ヌナが、大きく息を吐き出した






『………この前、ウヨンくんに、結婚の決め手はなに？って聞かれたでしょ？


あの時、私が何て言ったか、覚えてる？』





…………長くいても飽きない




……いまだに、ドキドキする時が、ある





『……うん。覚えてるよ』





『あれね……そう、思わせたかっただけ……

人にも……自分にも……』





『え？』





『長くいても私に飽きられたくない。

たまには…ドキドキしたい……してほしい……

そんな、私の願望もあったのかも』





『……ヌナ……』





『……私は、彼の事が好きなんだ。愛してるんだ。

だから……彼と結婚する。


なんて……』





『……ヌナ…』






ヌナが、俺の顔をちらっと見る






『……本当は、ただ……臆病なだけなのに』





『臆病？』






『そう。……もう両家にも、挨拶しちゃってるしし……お互いの職場にも伝わっちゃってるし。

今さら……破談なんて……ね？』





薄く笑うヌナ






『………でも、ヌナ…』





『…案外さ、長く付き合ってるカップルって、みんなこんな感じで結婚するのかもしれないし？

結婚してみたら、全部、上手くいくのかもしれない』





『………【かもしれない】で、結婚するの？』






『…………』






『みんなそんな感じで、結婚するのかもしれないけど、

そこに【愛】があるからこその【かもしれない】じゃないの？』





『……………』






『ヌナ……本当にいいの？』






俺のその言葉に、まっすぐ前を向いたまま





また泣きそうな顔をした

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