Before Midnight (ページ5)

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忘れてないページ5

『……오랜만이다』

8月19日。

約束通り、いつものホテルを訪れた。

教えられた部屋の前

インターホンを押そうと手を持ち上げたところで

突然開かれた扉

｢びっくりした｣

驚いた私に

『……오랜만이다』

マスク姿のジュノが、笑ってそう言った。

顔の半分が隠れていても、

相変わらず、カッコいい。

実際に言葉で聞く

ジュノの低くて落ち着いた

【오랜만이다】

それは、思っていたよりも

ずっとずっと破壊力が凄くて、

クラクラとさせた。

｢……久しぶりだね、ジュノ｣

ドクドク、と上がる心拍数。

ソワソワと落ち着かない気持ち。

そんなのを隠して、ジュノに笑いかけた。

私って、３年半前……ジュノとどうやって接していたんだっけ？

それすらも、もうわからなくなってる。

｢クククッ笑｣

喉を鳴らして笑ったジュノ

｢な、なに？｣

『久しぶり過ぎて忘れちゃった？俺のこと』

韓国語での問いかけに

『……そんなわけ、ないし』

韓国語で答えた。

『韓国語、ちゃんと覚えてるじゃん』

｢ジュノは、忘れちゃった？日本語｣

私の日本語での問いかけに

｢忘れるわけないし。俺、日本語出来るし。｣

日本語で答えて、得意気に笑うジュノ、

その表情と、自信満々な話口調が

私の記憶を取り戻させた

｢早く入って｣

私の腕をソッと掴むと中へと引き入れたジュノ

背後で聞こえた扉の閉まる音

突然、感じたジュノの大きな手の温もりと力強さに

僅かに緊張した私。

足を踏み入れた部屋は、

既に、懐かしいジュノの香りで溢れていた。

でも、目の前に立っているこの人は、

以前とは違って……なんていうのかな……

すごく、大人っぽい？

男っぽい？

………"色気"って言葉の似合う人になっていた。

『なんか……すごく男っぽくなったね』

そう言った私に

『なんだそれ笑』

って笑った顔は、会っていた頃と同じ少年のよう。

その笑顔に、ホッとした。