Before Midnight (ページ19)

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彼のキモチページ19

なんとか戻ってきたホテルの部屋

『……なんで、歌ったの？

バレたらどうしようって、ヒヤヒヤしたよ』

小言のようなことを言う私に

『歌いたかったから』

とシンプルな返事をしたジュノ

『……う、嬉しかったけど…』

『嬉しかったの？』

『……そりゃ…

ジュノバンドの一員になれたら、いいなって思ったことも……

あるし。』

『……そっか。』

『でも、ジュノバンドのピアノはソノくんじゃなきゃ、だめだもんね』

『そうだな。……そこは、代えられない。』

……わかっているのに、そんなはっきり言われると

ちょっと傷つく…

『さすが、ジュノだね。

公私混同しないで、偉いね笑』

そんな風にわざと笑った

『……いや、公私混同してんのかも』

『え？』

『……Aが後ろにいたら

たぶん、Aにばっかり歌っちゃうから』

『え？』

『………感情が、乗りすぎる』

またそんなことを、私の目をまっすぐに見つめたまま言うから

ドンドン、熱が上がっていく

このままじゃ……

私のキモチが、持ちそうにない

『ジュノ』

『ん？』

『……早く、シよう』

『え？』

『……お願い。早く、抱いてよ』

私から、彼の胸に飛び込んだ。

以前よりも厚くなった胸板に顔を埋める

『………なんで？』

『………なんででも…』

《期待》が膨らまないように…

『……俺の、キモチ…聞かないの？』

ドクッと、より一層激しくなった心臓の動き

『………聞かない』

『どうして？』

ぐっと私の肩を掴んで、身体を離される

ジュノの真剣な眼差しが、また私をまっすぐに捉えて離さない。

『………こ、怖いから』

『怖い？なんで？』

『……だって……勘違い、しそうで』

『なんで、勘違いだと思うの？』

『……だって……』

『……俺が、今まで "何"も言わなかったから？』

『え？』

『………"言わなかった"んじゃなくて、"言えなかった"んだ』

『…………』

『……俺も怖かったから。

あの時、俺はどうしたって２年間、Aの側にいられなかった。

Aのキモチが俺にあるって、分かってたけど、

一緒にいられない間に、俺からキモチが離れていくかもしれないって怖かった。

だから……

向き合わなかった。

でも、離すことも出来なかった。

だから……あんな風に、繋がってた。』

『……ジュノ……』