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ジョンイン神父様の問いに慌てて答えてクリームシチューを作っていく。自分の家ではない居候の身だけれどこのキッチンに神父が居て、その神父と共にお昼ご飯を作っているだなんてなんだか笑える。
きっちりと黒の礼服に身を包んだジョンイン神父様と、少しダボッとした部屋着を着た私。綺麗で真っ白で誰からも愛されているジョンインと、汚くてどす黒くて愛されることをあまり知らない私が並んで同じ物を作ってるのを見てキリストはなんて言うのだろう。こうして隣に立つことさえ許されないのかもしれない。
｢…Aさん？｣
｢っへ、あ…ごめんないボーッとしてました。出来ましたね！まだお義母さんの食事の時間には早いので、もし良ければ食べていきませんか？少し、作りすぎたみたいだし｣
ジョンイン神父様に声をかけられて慌てたのか言おうと思ってもいなかったことが口からツラツラと言葉になって出ていく。食べていきませんか、なんて。昨日まで彼の誘いを毎日断っていたくせに。関わるべきではないと自負していたくせに。なんて人間は愚かなのだろうか。
そんな私の黒いどろどろとした考えとは裏腹に目の下の涙袋をふくふくとさせ目尻を吊り上げて嬉しそうに笑う彼にいくらか浄化される。
直ぐに食事の用意をしてテーブルにジョンイン神父様と向かい合わせになってクリームシチューを口に運ぶ。
｢ん…！美味しいです！｣
｢良かったですお口に合って…とても美味しそうに食べるんですね｣
｢だってとっても美味しいですから。……もし、Aさんが良ければ敬語は辞めませんか？凄く距離を感じて寂しいです｣
同い年なのに…と言葉を続けるジョンイン神父様にどうしたもんか、と頭を抱える。距離を感じるもなにも敢えて距離を置いているのだからなんて事を目の前で俯いている彼に伝えれるほど鬼ではない。彼に耳としっぽがついていたら分かりやすいほどに耳は垂れてしっぽはだらんと下がっているだろう。そんな彼を無下にすることは出来ず了承すると先程までの悲しい顔はどこに行ったのかと思うくらいにまたお日様のような笑顔をこちらに向けてくるのだからたまったもんじゃない。
｢じゃあAちゃんって呼んでも良い？｣
｢…うん、良いよ｣
｢僕のこと、本当は神父様ってつけて欲しくないんだけど駄目、かな｣
｢その…村の皆さんのこともあるから、2人っきりの時はジョンインくんにする。誰かいる時は流石に神父様って呼ばせて欲しいかな｣
｢っもちろん！｣
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作者名：おむすび | 作成日時：2023年7月23日 22時
