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本当は、考えておくなんてのは嘘で鼻から行くつもりは無い。それは決してキリスト教が嫌だからとかお祈りが面倒臭いからなどと言う理由ではなく、これ以上ジョンイン神父様と居ると彼を汚してしまいそうになるから。
神父というのは、神の道に使える人できっと、真っ白で無くてはならないのだろう。この数時間で彼は汚してはならない、真っ白で綺麗な特別な人間だとヒシヒシと感じた。
私を思ってのお誘いだっただろうに、無下にしてしまってごめんなさい。心の中でジョンイン神父様に謝っても、届くことはないのだけれど。
実際のところ、私は次の日外に出なかった。勿論元々出る気は無かったがお義母さんの容態が少し悪化してしまい、彼女が街に出ることは出来なくなったのだ。
そのため私は昨日彼に案内してもらった街の様子をお義母さんに話して、少しでも隊長が悪い彼女の気持ちを和らげようとした。
「そう…素敵ねぇその神父様って」
「…そうだね、凄い優しくて神父様って感じだった」
「しかもイケメンなんでしょう?いいわねぇ私も見たいわぁイケメンの神父様…イケメン神父様見たら治っちゃいそうだわぁ…目の保養だものねぇ」
「もうお義母さんったら…冗談言えるなら今日ちゃんとご飯食べれるよね」
韓国に来る少し前からお義母さんの食は細くなっていき、今では殆ど食べなくなってしまった。少しでも良いから栄養のあるものを、とご飯を用意しているものの、やはり食べれない様子で。やせ細っていく彼女を見つめることしか出来なかった。
そんな彼女を家に置いて街を探索したり、彼と一緒にお祈りをしに行ったりするのは嫌で次の日もその次の日も外に出ることは無かった。
そんなある日、お昼前にドアがノックされる。叔父は仕事がとても忙しいらしくほぼ毎日夜に帰ってくるため、代わりに私が出るとそこには神父様がいた。
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作者名:おむすび | 作成日時:2023年7月23日 22時