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ふわりと私にほほ笑みかける神父様があまりにも私にとっては眩しくて、心臓がきゅっと痛くなる。こんな優しくて真っ白な人と話していて良いのだろうか、なんて思いながらも韓国語の敬語はまだ少し不慣れなのでお言葉に甘えて少しだけ敬語をとって話してみる。
｢すみません…ありがとう｣
｢僕のことはジョンインでもなんでも呼んでください。この街で年齢近い人なんてほぼ初めてなので僕としてもぜひAさんと仲良くなりたくて…｣
｢ぁ、そうなんですね。若いのに、凄いですね神父様なんて…｣
｢そうですか？Aさんも凄いです、お若いのにこうして異国の地にきてその地の言語をしっかりと話されてるし…僕なんか、全然｣
ゆっくりと歩みながらそう優しい少し低めの声で話すジョンイン神父様にゆっくりと心が解けていくのがわかる。だめだ、汚らしい私なんかが彼と仲良くなってしまっては。
じわじわと暖かい言葉で溶かされていく心を引き締めて、余所行きの笑顔を作る。私なんかが幸せになっては、駄目なのだから。
そこから時間が経つのはあっという間で、教会や幼稚園、学校、八百屋さんや魚屋さんなど街の殆どを案内してもらった。その間ずっとジョンイン神父様は私に話しかけてくれたり、知っている日本語を言ったり新しい韓国語の単語を教えてくれたり。
1時間も歩き回っていたのに体感は5分程度でとても楽しかったんだな、と改めて感じてしまう。実は人見知りなのだという神父様だが、それを感じさせないほど私に気を使ってくれてそりゃこの街の人が信頼するわ、なんて実感した。それほど彼はこの街の人々に愛されていた、それはもう、羨ましいほどに。
｢…Aさんはなにか宗教に入られていましたか？｣
｢あ、いえ。そういうのは疎くて…キリスト教自体もそんなに実は分かっていなくて…恥ずかしながら…お祈りがあるということしか知らないんです｣
｢もし良ければ、明日一緒にお祈りをしてみませんか？そこまで難しくないですし、キリスト教に勧誘なんてのもしませんから｣
｢ぁ…考えて、おきます｣
私の失礼な返答に対しても怪訝な顔をすること無く、天使のような微笑みで｢分かりました、待っていますね｣と声をかけられる。
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作者名：おむすび | 作成日時：2023年7月23日 22時
