. ページ5
.
そう言った叔父の目線を辿ると黒の服に身を包んだ、黒髪の少し幼い顔をした男がこちらに歩いてきていた。少し遠目からでも分かる真っ白い肌に黒髪と黒の服が映えて、この村の子どもたちと楽しそうに笑いながら話す彼の表情は美しくもあり儚くもあり目を逸らすことが出来なかった。
｢カンさん、おはようございます｣
｢おう、おはよう神父様。実は姪っ子と姪っ子の娘が今日から家に来てね。Aちゃんって言うんだ｣
｢っはじめ、まして。AAと言います。えっと…日本人です｣
｢初めまして、ヤンジョンインと言います。そこの教会で神父として働いていて、この街の皆さんにはお世話になっています。もちろんカンさんにも｣
｢よせやい〜！そうだ、神父様良ければなんだがAちゃんを案内してやってくれねぇか？あと年齢も近いだろうし、色々と世話してやってくれると嬉しいよ｣
私を見てにこっと笑う彼の笑顔は、とても魅力的で眩しいお日様のような天使のような気がして｢ああ、私のような汚い人間が触れちゃだめだな｣と瞬時に感じてしまった。
叔父さんの言葉に、大丈夫だよ、と断ろうとしたが神父様とやらは随分優しいらしく｢勿論｣と承諾してしまった。叔父さんは仕事が忙しいらしく、じゃあ！といって直ぐに車を出してどこかに出かけてしまい、初対面も初対面の神父様と2人っきりになってしまったのだ。
｢えっと、すみません、急に｣
｢いえ。僕で良ければ喜んで案内しますし、何か分からないことがあればすぐに言ってくださいね｣
神父様ってのはどの人もこんなに優しいのだろうか、というか顔が良くて優しくないとと神父様になれないみたいな条件があるのだろうか。
先程までいた子どもたちはどうやら今から授業が再開するらしく学校へ向かっていった。
ゆっくりと神父様の横に並び、彼が歩く方向に続いて歩くと急に止まったのでびっくりして彼の方を見てしまう。
｢ど、どうかされましたか｣
｢いえ…Aさんはお幾つですか？｣
｢あ、えっと22歳です。韓国年齢で言うと…ええと…23？｣
｢ああ、僕と同い年ですね。Aさんが良ければ敬語なしで構いませんよ。敬語の韓国語、疲れませんか？｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 315人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おむすび | 作成日時：2023年7月23日 22時
