君に来世はない (ページ33)

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ジョンインくんは、おじさんの土地を受け継ぎ地主となりつつも幼稚園の先生として働いている。
元あったおじさんの家は取り壊しをして、子どもたちが自由に遊べるような施設を建てる予定だ。私たちはといえばその横にあった元々の空き家を購入して2人で暮らしている。決して大きい、とは言い難いがそれが心地よいし幸せを表しているような家で満足している。

｢A、もう家に帰ろ。あんまり冷えちゃうと身体に良くないよ｣

｢ジョンイナは心配性だね｣

｢そりゃAの事になると心配になるよ、愛してるからね。それに今は1人だけの身体じゃないでしょ｣

そう言って大きな手をほんの少し膨らんだ私のお腹に宛てがった。お医者さんに早ければそろそろ胎動が感じられるかもしれないねぇ、と言われた時から妊娠がわかったときよりもお腹を撫でる頻度が多くなったジョンインくんは今日も愛おしそうに大切そうに撫でる。
手のひらの温もりを感じ、彼の大きな手に自分の手を重ねて再び目の前にあるキリスト像を見つめる。

私はこの街で愛を知り、愛を与えられ自分も愛を与える側となった。それは今までの私には考えられないことで、きっと昔の私が知ったら驚いて信じないだろう。

愛とはある意味残酷である。沢山の罪を持つ私はこの世にいるべきではないのにこうして罪だらけの人間をこの世に留まらせているのだから。
私には多くの罪がのしかかっている。実の父親を見殺しにしてしまったこと、お世話になったはずの叔父を殺してしまったこと。

─そして1番の罪は、彼を、ジョンインを神様から奪ったこと。
ジョンインの愛は、真っ直ぐである。真っ直ぐが故に歪んだ純愛なのだ。私はきっとそんな愛を人生をかけて受け止めて彼を幸せにする事が使命なのだと、運命なのだと思う。