Pride ページ4
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飛行機に乗り、その後は列車に乗り継いで向かったのは街…というよりは村に近しい所だった。緑は豊かで、海も近いらしい。日本で住んでいた時とは全く別の世界に来たような感覚がして心が少し軽くなった。
｢Aちゃん、移動時間長くて疲れたでしょ｣
｢全然。お義母さんの方が疲れたでしょ？体調は？しんどくない？｣
｢少しだけね。あら、叔父さんだわ｣
以前よりもだいぶ窶れて痩せてきたお義母さんが見つめる先を辿ると、でっぷりとしたいかにも金持ちそうな男性が駆け寄ってきた。60代くらいだろうか。たしか彼女の父親の弟、と言っていた気がする。ぺこりとお辞儀をすると肉の乗った腹を揺らしながら同様に頭を下げる。
｢君がAちゃんだね？ヨンヒから聞いているよ、随分可愛らしいお嬢さんじゃないか｣
｢そうでしょう？私の娘だもの｣
そう言って私の肩を抱くお義母さんに擽ったさを覚える。こうして私を大切に育ててくれたお義母さんにここで恩返しできると良いな、なんて考えながら叔父さんの話をきく。
お義母さんの幼い頃の話だったり、今から行く村の様子だったり。
高校生の時から義母に韓国語を少しずつだが教わっていたので聞き取ることはできるが、流暢に話すとなると少し難題になってしまう。恐らく日常会話程度なら問題ないはずなので、何事もなく過ごせる事を祈る。
｢さて、着いたよ。ここが今日から君たちが住む街さ｣
｢…すごい。なんだか、絵画みたい｣
｢そうだろう？荷物を家に置いたら街を案内しよう｣
叔父の家はとてつもなく広く、ああこの辺りの地主の金持ちなのだなとひと目でわかるような家だった。部屋は沢山余っているらしく義母専用の部屋と私専用の部屋を用意してくれたらしい。お義母さんはどうやら疲れたらしく街の案内は明日にしてもらうとの事だったので、ゆっくり休んで寝てねと声をかけて叔父のあとを続く。
外に出て、改めて周りを見るとやはり日本とは違った空気でほっとする。別に私の故郷でもなんでもないのにどうしてこんなに心が安らかになるのだろうと思い、キョロキョロとしていると少し奥の方に少し小さめの真っ白い建物が目に付いた。
｢…おじさん、あれって｣
｢ああ、あれかい？あれは教会だよ。この辺りはみんなキリスト教徒でねぇ…かく言う私もキリスト教徒なんだ。そう言えばAちゃんとヤン神父様、同い年くらいじゃなかったかな｣
｢やん、神父さま｣
｢そうそう。お、噂をすれば｣
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作者名：おむすび | 作成日時：2023年7月23日 22時
