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拭っても拭っても落ちてくる涙を感じながらもそう伝えると、ジョンインくんに抱き締められた。ちょっと話聞いてた!?と声をかけても返事はなく、それはもうきつく、苦しいくらいに抱きしめてくる。離してと言っても聞いてくれず彼の腕の中で身をよじるがやはり力では勝てず1度動くのを止めると、グスッと鼻をすする音がした。
え、と思い彼の顔を覗こうとすると再び腕の力が強くなる。
「…なんでジョンインくんが泣いてんの」
「やだ、お願い消えないで…ッぐす、っ…Aちゃんが居なくなったら僕はだめなんだよ…そんなこと言わないで…Aちゃんが、どれだけ僕の中で大事な存在になってるか知らないくせに、そんなこと言わないでよ…」
「何言って…」
「これ以上僕が言ってもAちゃんが僕の前から消えようっていうのなら、僕にも考えがあるから」
そう言うとジョンインくんは私の体を抱き上げだ。おろして、と言っても聞いてくれずに彼の目をみると何かを覚悟したような顔をしていて無理やりにでも彼から離れようと出来なくて、彼から逃げれなくて大人しく揺れる体をジョンインくんの体に預ける。
ジョンインくんが寝ていた客室のベッドに優しく下ろされ、上から彼が覆いかぶさる。少し赤く腫らしたジョンインくんのビー玉のような綺麗な黒の瞳と目が合って逸らせなくなるとどうじに、私はこの人からもう逃げられないのだと悟ってしまった。
ゆっくり近づいてくるジョンインくんの唇を拒否することだって出来たのに、私はそれを受け入れてしまった。
それが嬉しかったのか再びリップ音を鳴らして口付けてくる彼の首に手を回して、全てをジョンインくんに委ねた。また罪を重ねているとも知らずに。
私はその夜これでもかと言うほどジョンインくんに身も心も全てを愛されたのだった。
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作者名:おむすび | 作成日時:2023年7月23日 22時