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転んだ状態から起き上がり、おじさんに胸ぐらを掴まれて部屋から連れ出される。やめて、と泣く義母に大丈夫だからと口パクで伝えたものの体はやはり震えてくる。それでも怒りによるアドレナリンは大量に体から放出されているようで、近所にも聞こえるくらいの大きな声でおじさんに抵抗する。
「離してよ!!やめて!!」
「黙れ!!!」
さっきお義母さんにしていたように髪を掴まれて引っ張られる。痛いけれど、お義母さんがされてきた痛みに比べればマシだ。この男に必死に抵抗しているとインターホンがなり、ドアがドンドンドン!と叩く音がする。それに気を取られたのか少し私の髪を掴む力が緩んだ隙を見て急いで走って玄関に向かって鍵を開けると、そこにはジョンインくんが居た。
「じょん、いんく、」
「近所の方から大声が聞こえるって。心配で見に来たけど…見に来て良かったみたいだね」
酷く心配そうに私を見つめ、手を握ってくれたジョンインくんに思わず泣きたくないのに涙が溢れてくる。じわっと視界が歪み、その雫を彼のしなやかな長い指が救ってくれその瞬間だけ時間が止まっているように感じたが後ろから聞こえてくる足音にサァっと血の気が引く。
「ッ、おじさんが…!おじさんが、」
「大丈夫、僕の後ろに居て。カンさんとは僕がお話するから」
私を後ろに隠し、大丈夫だよと声をかけてくれるジョンインくんに心が少しだけ落ち着く。ぎゅっと彼の背中に控えめに抱きついて震える体を抑えようとするとおじさんが玄関に来たらしい。
「ヤン神父がなんでここにいるんだね?関係ないだろう、君には」
「…いえ、関係あります。この街の神父を務めているんです、街の人達と僕は常に関係があります」
「よく言ったもんだなぁ神父様。どうせこの女に唆されたんだろう。この実の母親も不倫してどっかに行ったらしいじゃないか、それにな、ヨンヒだって昔から男を唆すのが上手かったんだ。この子だってそうさ」
「僕は自分の意思でAさんと仲良くしています。それこそカンさんには関係ありません」
おじさんの言葉にも動じることなくそう言い切ったジョンインくんに涙が再び溢れそうになる。しかしそれを聞いたおじさんの怒りは頂点に達したのかジョンインくんの顔を思いっきり殴った。
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作者名:おむすび | 作成日時:2023年7月23日 22時