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「ぉい…A…きゅ、救急車…」
「っ…」


心臓を抑えて倒れ込む実の父親を見て、私は、「そのまましんでしまえ」と。そう思ったのだ。こいつを見殺しにすれば、私も義母も開放されるんだから。
1歩も動かない私を見て一層顔から汗を流す父親は、絶望しただろう。ヒュウヒュウと息が浅くなっていく父親を見て、私は、どんどん心が軽くなって言ったのを今でも覚えている。

何時間、いや何分経っただろうか。義母が帰ってきたらしく玄関の扉が開き、父親の様子を見て私を見てそっと体を抱きしめた。


「大丈夫、大丈夫だから。」
「…うん」

今思い返すとと、なにが大丈夫だったのだろうかと思うが当時の私は大丈夫、大丈夫と呟く義母にただ抱き締められることしか出来なかったのだ。
義母が救急車を呼んだ時にはもう、彼の息は無かった。幸か不幸かボロいアパート住まいだった為防犯カメラもなければ隣人も居なかったので私は義母と共に帰ったことになり、何も警察に問われることはなかった。



父親がしんでからというもの、お金は無いのは相変わらずで2人して身を粉にして働いていたのだが、ある意味幸せだったのかもしれない。私に害をなす人間が居ない快適さを身にしみて感じる一方で、実の父親を見殺しにしてしまった事がやはり自身の毒になっている。


そんなある日、義母が倒れた。
─癌らしい。それも、ステージ5の、余命半年だと医師に宣告されたと家で彼女の口から聞いた時久しぶりに涙を流した。そんな私を見て彼女は「私の故郷の韓国に一緒に行かないか」と提案してきたのである。
義母は日韓ハーフであり、故郷は韓国なのだ。ただ、彼女は兄弟も居らず両親も他界しており頼れるのは叔父しか居ない。しかしその叔父は地主のお金持ちだから私たちの面倒を見てくれるとのことだった。彼女が望むのであれば私はどこまでも着いて行こうとしていたので二つ返事で頷いた。

Pride→←Sloth



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作者名:おむすび | 作成日時:2023年7月23日 22時

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