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少し赤くなり腫れた目を見てそれすら可愛いね、なんて言うジョンインくんが擽ったくて仕方がない。懺悔室から出て保冷剤を持ってきてくれて、近くにある椅子に隣同士で座る。何故かずっと手は握られたままだったがそれすら安心材料になってしまっている私は単純なのだろうか。
｢今日の事は、勿論誰にも言わないし僕の中に留めておくから安心してね｣
｢…出ていけとか、自首しろとか言わないの？｣
｢なんで？｣
｢な、なんでってその…｣
私、犯罪者なんだよ、そう小声で伝えたにも関わらずキョトンとして首を傾げた顔のままこちらを見つめてくる。綺麗な黒色の瞳に視線を奪われてしまう。
｢僕はAちゃんのことそう思ってないからだよ。僕はこれからも色々手伝って欲しいし、一緒に子どもたちと遊んで成長を見届けたいし、Aちゃんと過ごす日々が好きだから｣
｢…告白、みたいだね｣
｢ふふ、そうかも｣
繋いだ手をぎゅっと握られ、思わずびくりと反応してしまう。まるで告白のような言葉を投げかけられどうしていいか分からず黙り込んでしまう。それでもジョンインくんの言葉に救われた私がいて、心はもうだいぶスッキリとしていた。目をきゅっと細め、私を見つめてにっこり笑う彼の両頬にはえくぼがあって。思わずそのえくぼを繋がれていない片方の手でぷすりと差す。
｢ん？なあに？｣
｢ううん、なんでもない｣
他人を愛おしいと感じた事なんて、この人生で1度もなかった。お義母さんの事は大好きだけれどもう彼女は家族だし、家族内ですらも愛おしいのはお義母さんだった。
他人を好きだと、愛おしいと想う感情はこんなにもぽかぽかとして擽ったくて、いまにも溢れ出てしまいそうなものなんだ。
こんな私の罪を聞いてもなお、傍に居ようとしてくれるジョンインくん。なんでもないと私が答えたあと、なにそれ、とケラケラ笑うジョンインくんが愛おしくてたまらない。
─私の中の愛が育ち始めてしまったのを果たして神様は許してくれるのだろうか。
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作者名：おむすび | 作成日時：2023年7月23日 22時
