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顔が良い男の顔が目の前に居たことへの心臓の高鳴りと明かせない秘密や罪を告白する所、という言葉に心臓がドキリとした。この人は私が罪を犯した事を知っているのだろうか。その上で連れてきたのだろうか、と思うものの私の罪なんて自分自身と義母しか知らないのだからと落ち着かせる。
きっと私のことが心配で、少しでも気持ちを楽にさせようと連れてきてくれたのだろう。…でも本当に彼に伝えることで告白することで少し楽になるかもしれない。例えこの告白をした後ジョンインくんに絶望されようと嫌われようと、心が少し軽くなるのなら…それで良い。
「私の話、聞いてくれる?」
「勿論。Aちゃんの全部、受け止めさせて」
こくりと頷くと扉を開けて中に入れてくれる。底には映画でよく見る空間が広がっていた。1人しか入れないスペースにひとつ椅子が置いてあり、その正面には顔が見えないように仕切りがされている。私が椅子に座ったのを確認してジョンイン神父様も向かい側の椅子に座る。彼から何があったのか、なんて聞いてくることも無く私が口を開くのを待ってくれているようだった。
外にある時計の針が刻む音だけが聞こえて、この空間だけ取り残されたような感覚がするけれど今なら他人に私の罪を告白出来るかもしれない。
「…父が、居たんです。実は今一緒に暮らしているのは本当の母ではなくて義母です。父の再婚相手です…本当の母は私が幼い頃に出ていって名前も顔も覚えていません」
恐らく頷いて相槌してくれるであろうジョンイン神父様に向かってポツポツと言葉を紡ぐ。母が出ていった理由や、父親が壊れていった理由を話す。過去の思い出がフラッシュバックしてきてまた呼吸が乱れそうだったけれど、目の前にジョンインくんがいると思うと不思議と大丈夫だった。
「…父がそんな風になってから何年か経ってある日、家に帰ったら父が玄関の廊下で倒れてたんです。多分、心臓発作だったと思います、荒れて不健康な生活をしていたから。その時まだ父の意識はあって帰ってきた私を見て名前を呼んで救急車を呼べと、言われました。」
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作者名:おむすび | 作成日時:2023年7月23日 22時