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「ッAちゃん!」

「ぁ…っ、はッ、じょ…ん、いんッく……」

「大丈夫、大丈夫だよ僕が居るから大丈夫。ゆっくり息吐こう…そう上手」


急いで走ってきたらしいジョンインくんに肩を抱かれる。彼の言葉に合わせて呼吸を続けると幾分かマシになって徐々に震えも収まってくる。それでも涙は止まらなくて、それを見たジョンインくんは真正面から私を抱きしめた。
ジョンインくんの腕の中は暖かくて安心して、笑顔だけじゃなくて存在すらもお日様みたいな人なんだと、実感してしまった。彼の礼服に涙の染みがポツポツと着いてしまうのに、冷や汗で汚いのに、それでも私を離さないと言ったくらいに強くでも優しく包み込む彼の背中に恐る恐る手を回す。


「…少し落ち着いた?」

「うん、ごめん…なさい。教会で、迷惑かけちゃった、汚しちゃった」

「大丈夫、そんなこと気にしないよ」


ゆっくり私の頭を撫でてくれるジョンインくんの背中に回した手が思わず強くなる。こんな姿誰かに見られたら困るのにそれでも今はこの人に縋っていたくてギュッと服を掴んで肩に顔を埋めてしまう。撫でてくれる手は大きくて暖かく、とても心地よくてパニックになっていたのがどんどんと薄れていく。5分10分経っただろうか、漸く涙も収まり震えも完全に止まったのだがどうにもこの状況が恥ずかしくて情けなくて彼の肩から顔を上げれないでいる。


「Aちゃん、立てる?だいぶ落ち着いたみたいだから、場所移動しようか」

「ぁ、うん」


ジョンインくんに支えられてゆっくりと立ち、彼に連れられるまま部屋に移動する。そこにあったのは小さな箱のような、箪笥のようなもので首を傾げているとジョンインくんが口を開いた。


「ここはね、懺悔室って所なんだ。聞いた事あるかもしれないけれど、信徒の人たちが誰にも明かせない秘密とか…罪とかを告白とかをする所。
…Aちゃんが良ければ、僕に話してくれないかな。嫌なら無理にとは言わないけど、少しでも吐き出せたら楽になるかもしれないから」


そう言って少し眉を下げ、私の顔を覗き込むジョンインくんに思わず心臓がドキリとする。

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作者名:おむすび | 作成日時:2023年7月23日 22時

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