君に来世はない (ページ2)

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Sloth ページ2

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突然だが私は世間一般的に言う''可哀想な人間''になるのだと思う。
実際の母親には、幼い頃捨てられた。恐らく他に男でも居たのだろう、私と父親を捨てて彼女は私たちの前から消えていった。随分昔のことなので彼女の名前も、顔ももう覚えてはいないし彼女に愛された記憶も無い。実の父親は仕事ばかりの人間で、私のことも母親のことも二の次だったのでそりゃまあ男作って逃げるわな、である。

しかしそんな仕事人間の父親が再婚し私が小学生の頃新しい母親ができた。義母は血の繋がりの無い私を懸命に愛し、実の娘のように可愛がってくれた。私が初めて愛されたのが血の繋がらない人間だなんて神様は予想していただろうか。
兎にも角にも仕事人間の父親は相も変わらずだったが私には唯一の味方であり愛を教わった義母が居たのでスレることなく過ごすことが出来たのだろう。

そんな幸せ─いや、普通の生活から一変したのは大学入学の時期だった。

私の大学入学と共に、父親の勤めていた会社は倒産。プライドが高く、他人に媚びへつらう事が嫌いな父親は再就職することもなくアルコールに溺れて行き、あっという間に借金まみれの男になった。性格も口調も何もかも変わり、暴言や暴力は当たり前になっていった。

もちろん、私は大学には行かなくなった。生きていくために私と義母はやれることはなんだってしたし父親からの暴力も耐えていた。
体を売って金を稼いでこいと言われた時も、最初は否定したが包丁を持ち出され頬を切られた時に、嗚呼私は今後こうして生きていくしかないのだと悟ったのを覚えている。

そうして3年間、ずっと耐えに耐え義母と2人で支え合って生きていたさなか事件は起きた。バイトから家に帰ると、父親が廊下で倒れていたのだった。