己の役柄_2【キャラまとめ】 (ページ48)

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【続き】
褒め言葉に弱い。褒められると割とすぐ調子に乗る。てれてれする。戦闘中で敵から言われても「えっほうかのう？ありがとの！」と言ってしまう。

過去:
とある田舎の漁師の娘、6人兄妹の2番目、長女として育つ。父は一度漁に出ると3ヶ月は帰ってこないが、その分家は裕福であり、集落の中ではある意味お嬢様のような立場だった。お転婆だが頭の回転が良く、オマケに村一番の漁師の娘。彼女は村で人気者だった。
そして7歳の年、初等教育場へ入学。これまで、私が好意で接すれば周りも好意を返してくれた。だから、ここでもきっと、たくさんの友達が。
そう期待を込めてした自己紹介。「よろしゅうな！」といつものように言った途端だった。
「何ですか、その話し方は？」
「『普通』の話し方が出来るようにしなさい。あなたのような人がいると、世界中が喧嘩をして、人が死んじゃうんです」
「みんな嫌ですよね？お父さんやお母さんが死んじゃうの！この子が勝手をして、そんなことになっちゃうの！」
そうして彼女の首にはひとつの板が掛けられた。そこには、当時は読めなかったがーー「私は言葉を乱して平和を破壊しようとした悪い人です」と書かれていたそうだ。
「変な喋り方。何言ってるか分かんねえ」
「怖い、怒ってるの？普通に喋ってよ」
「おい、喋るな喋るな！うつってお前も変な話し方になるぞ！」
好意を返して貰えないのは初めてだった。好意を受け取って貰えないのは初めてだった。
話し方を必死に直したが、直そうとすればするほど微妙な違いが気になって、気になられて、いつまで経っても「普通」になれなかった。
……おまけに、どれだけ言葉を近づけても、その札を外すことは出来なかった。自分以外に方言を話した人間を密告しなければ、その札は外せなかったのだ。彼女は血眼で方言を話している人間を探したがーーついぞ、密告することは出来なかった。
けれど、ある日の声楽の時間。ーー自分でも感じた。
私は、歌う時だけは「皆と一緒」で声が出せる。
そして私は「皆とは違って」、とても、上手。
更に、「この辺りから素敵な声がした」と先生は彼女が立っていた辺りを指した。声の主を特定して、彼女に札が掛かっていることを見てそれ以上の言及は避けたが、小さな自信を補強するには十分だった。