＊ ページ47
「だぁかぁらぁ、ただの幼馴染だっつってんだろ。昔は妹みたいに可愛がってたし、連絡も取り合ってたけどーー」
「けど？」
「……才人になったんだよ」
ぴしり、と空気が凍りついた。
「それで噂によると、同じ才人のエリートイケメンと結婚したんだとよ、俺が統一テストに滑り続けてる間になぁ！」
彼の叫びと共に、暖房から吹く風が吹雪かと錯覚してしまうくらい、場が冷えた。
「……おい密、食器棚の上にあいつの秘蔵コレクションがある。ウォッカ持ってきてやれ、気の毒だから沈める」
「いやいらねえからな！？ 吹っ切れてるわとうの昔に。密お前も行かなくていい、座ってろ」
「……えーと、まあとにかくアレだな。グレイ、アウトー。タイキックー」
「えっちょっと勘弁してくださいよ加賀さん！？」
「お、よし誰がやる？ 俺は転けたら不味いんでパス」
「よしじゃあここはジャンケンで……」
すると、またカランコロン、と電子音。「詫び代わりだ、行ってやるよ」とリビングからグレイは弾丸のように飛び出した。
いや待て、と思い出してヴァイスは立ち上がるも、時既に遅し。扉が閉じると共に、グレイが叫んだ。
「すげぇ、67地区産のビールだってよ！」
「えっマジですか統括役殿！？ 俺らのためですよね、あざっす！」
「銘、お前変わり身早すぎだろ。やーだね、これは俺が一人で飲むんだよ」
「まあまあ統括役殿ったらいけずを言わずに……よしグレイ、ヴァイスは俺が抑えるからさっさと栓開けろ」
「ちょっと待て政士、そんなガチで技かけるやつがいっだだだだだ……」
まもなくポン、と軽快な音。笑い声に大歓声。苦々しげな彼の顔も、ほらやっぱり嬉しそう。
歪な世界のとある年の瀬。束の間の幸福というのは承知の上。自由などない限られた人生ならば。
夢幻のような幸せを。今のうちに、精一杯。
終わり
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紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» なんですかねそれ尊すぎやしませんか？？ そしてそれを桐箪笥さんが書いてくれる、と……（控えろ） (2020年1月1日 0時) (
レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - 紫清さん» なんだかその後に早朝、神社などに思った訪れて御籤を引いてみんなで甘酒でも呑むのかな…と想像してしまいました。ごめんなさい、つい…想像が止まらない… (2019年12月31日 23時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» グレイくんはそういう所Z要領良さそうだなと思いまして笑 私も、彼らの幸せそうな姿が書けて楽しかったです！ (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - くろせさん» ありがとうございます！ 昇華隊の野郎共はいいですよね！！（負けじと大声） (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - グレイ…とことんやるだけやって責任放棄ですか、そうですか← 幸せそうなみんなが見れて感無量です！ (2019年12月31日 22時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
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