占いツクール
検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:3,271 hit

ページ39

「ねえ、ヴァー君。さっき『寂しい』って言ってたよね? ……あるんだけど、離れなくていい方法」
 
 そう言いながら、彼の下へ歩み寄って──睫毛がぶつかりそうな距離で、吐息が感じられる距離で言う。
 見るからに眉を顰めているけど、このシャツの下では心臓がうるさくて仕方ないに違いない。昇華隊の男たちは、任務任務に統一テストで、こういうこととはご無沙汰な奴ばかりなのだ。
 薔薇色の口紅が、上弦を描いた。
 
「そーかい。俺は興味ないから帰る!」
 
 一瞬「可愛い」と思ってしまったからか。それが隙となって、ヴァイスには抜け出されてしまった。こちらへの配慮なんてゼロな大股とスピードでずんずんと歩き出す──けれど、身長差がほとんどない二人にとっては、彼のそんな行為はあまり意味が無い。
 
「やーだ、ヴァー君の意地悪!」
 
 そう高笑いをしつつ、彼女も小走りをすればすぐに彼の背中には追いついた。
 生きていようが死んでいようが、父に言いなりの、男に服従しかできない「白瀬かごめ」はもういない。
 今ここにいるのは──
 
「後悔しないの、本当に?」
「しねぇ。死んでもしねぇ」
 
 容姿も過去も性格も、自分の持てる全てを武器として。後ろめたいか、恥ずかしいか、そんなことは関係ない。思い出した。これが私の戦い方だ。例えどれだけ世間的に非難されることでも、何を空に恥じることがあろうか。私はこれで、幸せなのだ。
 そう、フィオナ・S・ムーンアクトは、沈む陽にほくそ笑んでみせた。

作品語り2→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.4/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
8人がお気に入り
設定キーワード:叡智の門は開かれない , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紫清(プロフ) - くろせさん» いえいえ、くろせさんの素晴らしい小説があったから生まれたものなので……! こちらこそ、ありがとうございました! (9月7日 18時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» ありがとうございます! 冥土……政士君に追い返されちゃうんじゃないですかね(迷推理) (9月7日 18時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - これは政士も張り切って待っちゃいますね。また再開した頃にはお返しに1発ぶん殴って欲しいものです(笑) 素敵な文章をありがとうございます! (9月6日 19時) (レス) id: 62819c8559 (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - あ、いい……(尊死)冥土の土産に貴方様のお話を持って行かせていただきますね! (9月6日 19時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - ▼鏡夜▼さん» 良かったです、リクありがとうございました! (8月12日 23時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紫清 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年5月14日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。