かわいい (ページ5)

今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:67,595 hit

５ページ5

コンビニにしばらく寄らなくなってしまった間に、季節は進み、外はかなり寒くなってしまって。

北山さんは寒いのが苦手らしく、家に帰ってゲームしながら喋ろうって、いつもより早めに解散した。

でも帰って連絡したら、北山さんから連絡がなくて。
ゲームもオンラインにならなかった。

寝ちゃったのだろうか。

それでも、昨晩は久々にバイト終わりに喋れて、とっても楽しかった。やはりバイト中だけの雑談じゃ足りない。

眠かった大学を終えて、今日もスーパーへ。

「あれ…」

今日のシフト表を見る。

何度見ても間違いなく、北山さんは出勤となってる。

なのに、姿が…ない。

「あのー…」

たまたまバックルームにいたパートさんに、人見知りながら頑張って話しかける。

確か、ちょうどこのパートさんは、よく北山さんと話しているのを見る。何か知っているかもしれない。

「どうしたの？」

パートさんは、俺の声に振り向いたあと、少し驚いた顔をした。多分、俺から話しかけることなんて今まで無かったからだろう。

「今日、北山さん…って、休みですか？」

「…え？あ、ああ！そっちの北山ね！仲良くしてくれてるもんね！そうそう、宏光ちょっと体調崩しちゃってねぇ」

(ん…？)

なんだか親みたいな話し方に違和感を覚える。

そして、そっちの北山ってなんだ…？

「あ…」

パッと視線を少し落とすと、そのパートさんの胸元には
【北山】と書かれた名札がついていた。

もう一度顔に視線を戻す。

言われてみれば、似ている気がする。

「え、お母さん…ですか？」

「えぇ、そうそう。知らなかったっけ」

「あ、すみません…知らなかったです。
北山さん…あ、えっと」

親の前で上の名前で呼ぶのは変か、と言葉を止める。

「宏光さん、大丈夫ですか？」

「大丈夫大丈夫。風邪拗らせただけよ。咳してたのは知ってたんだけどね、今日熱出しちゃって」

昨日の会話を思い出す。花粉じゃなかったのか…？

元々風邪を引いていて、その風邪を拗らせたのなら…
昨晩のコンビニが原因では。

北山さんにメッセージを送ったが、出勤時間までに返信はなかった。

バイト中、気になって気になって仕方がない。
一度トイレのフリをしてスマホを見に行ったが、まだ返信は来ていなかった。

大丈夫…だろうか。