かわいい (ページ34)

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おまけ Fside ページ34

１２月２５日。

K「さーーーむーーーいーーーー！！！！」

「わかったわかった。もう駅着くよ」

家で怠ける宏光を何とか連れ出して、イルミネーションを見に来たものの、寒い寒いと騒ぐからすぐ退散することに。

周りは男女のカップルばかりだった。女子だけのグループはたまに居たけれど、男だけで来ている人は見なかった。

でも気にならなかった。幸せだったから。

横にいる恋人を自慢したいほどだった。

まあ、そんな暇もなく帰ってきてしまったけれど。

それでもいい。こんな自由な宏光に、ずっと振り回されていたいとまで思う。

最寄駅に着いて、自販機で温かいコーヒーを買って渡してやると、少し機嫌が治ってくれた。

駅から家までの帰り道は、宏光が寒いと騒ぐことなく2人でゆっくりと歩く。

K「…恋人と外でデートしたの、今日が初めて」

「えぇ？！そうなの？」

K「今までの人は、人目が気になるって断られてたから。
普通に歩いてたら友達に見えるだろーって言っても、なんかヤダって」

「ふーん。全然気にならないけどね」

K「…だから、嬉しかった」

小さな声でそう聞こえて宏光の方を思わず見たが、元々俺より低い位置にある頭がさらに下を向いていて、全く顔が見えなかった。

宏光は多分あまり言葉にするのが得意じゃないんだと思う。それも可愛いし、こうして時折頑張って言ってくれるのも可愛い。

俺は、宏光の缶コーヒーを持っていない方の手を取って握り、ポケットの中へと入れた。

「俺は全然気にならないから。暖かくなったら、たくさん色んなところ行こうね」

K「…いいよ、別に寒くても」

「えぇ？(笑)こんなに嫌がってたのに？」

いいっつってるだろと、照れて悪態をつく宏光の手を
ポケットの中で恋人繋ぎに変えた。

「ばったりお母さんに会ったりして。近所だし」

K「お前…冗談にならない冗談言うんじゃねぇぞ」

慌てて手を抜こうとする宏光の手を、力強く握って止める。おい！と宏光は顔を上げた。

「離さないよーずっと」

K「別にそんなことしなくたって…離れねーよ」

宏光の方を向くとまた下を向いていた。

その顔を覗き込むと、驚いた顔をする。

「かわいい」

俺はまた、思わずそう呟いた。

END 2022/12/25

Happy Merry Xmas!!🎁